文例・記録 1
支援経過記録の文例:業務外の依頼を断ったとき(10場面)
執筆:石田竜生(作業療法士・介護支援専門員資格(株式会社おふとん))
実務の監修:主任介護支援専門員(大阪府・経験11年) 監修中
法律部分:司法書士・行政書士 確認中
公開 2026-10-02/更新 2026-10-02
「通帳を預かって」「ついでにゴミを」と頼まれて断った日、支援経過に何をどう書けばいいか迷う人のための記事です。断った事実だけでなく「代わりに何を整えたか」まで残しておくと、あとで指導・監査・苦情のどの場面でも自分を守れます。10場面の文例はそのままコピーして、○の部分を埋めれば使えます。
記録の型:5つの順番で書く
業務外の依頼を断ったときの記録は、次の順番で書くと抜けがなくなります。
| 順 | 何を書くか | 例 |
|---|---|---|
| 1 | 依頼 | 誰が・いつ・何を頼んだか(本人の言葉をそのまま) |
| 2 | 説明 | 何を根拠に、どこまでできないと伝えたか(事業所の方針・業務の範囲) |
| 3 | 合意 | 相手がどう受け止めたか(「了承を得る」「納得はしていないが理解」) |
| 4 | 代替の段取り | 代わりに誰が・いつまでに・何をするか。ケアマネ自身の動きも含む |
| 5 | 報告 | 管理者・包括・主治医など、誰にいつ伝えたか |
ポイントは2つです。
- 「断った」で終わらせない。4の代替が書いてあることで、「放置した」と読まれなくなります。
- 相手の言葉は「 」で、自分の判断は「〜と説明」「〜を提案」と分けて書く。誰が言ったことか、あとから読んで分かるようにします。
書かないほうがいい表現
記録は第三者(管理者・保険者・家族・場合によっては裁判所)が読む前提です。次のような言葉は避けます。
| 避ける表現 | 理由 | 言い換え |
|---|---|---|
| しつこく頼まれた/また言ってきた | 相手を責める言葉。記録の信頼性が下がる | 「同様の依頼は今月3回目」と回数で書く |
| 断った/拒否した | 冷たく読まれる。何を整えたかが見えない | 「〜はできない旨を説明し、代わりに〜を提案」 |
| かわいそう/気の毒/困った家族 | 感情・評価の言葉 | 事実(独居・家族は遠方・週2日は接触なし)だけを書く |
| 認知症っぽい/怪しい | 診断や決めつけ | 「同じ質問が10分間に3回」など観察を書く |
| 仕方なく/今回だけ | 業務外を続ける根拠にされる | 同行した場合は「今回のみ同行し、次回からの担い手を決める目的」と目的を書く |
| 相手が納得した(していないのに) | 事実と違う記録は後で不利 | 「納得はしていないが、事業所の方針として理解」と正直に書く |
場面1 通帳・印鑑を預かってほしい
○月○日、訪問時に本人より「振込が分からないので通帳と印鑑を預かってほしい」と依頼あり。事業所の方針により通帳・印鑑・カードの預かりはできない旨を説明し、了承を得る。金銭管理の支援として社協の日常生活自立支援事業を説明。本人「話を聞いてみたい」とのことで、○日に社協へ連絡予定。支払いの滞りは現時点でなし(本人の申告)。管理者に報告済み。
場面2 通院に付き添ってほしい
○月○日、本人より「次回の受診(○日)に付き添ってほしい」と依頼。理由は歩行の不安と医師の説明が理解しにくいこと。ケアマネの継続的な付き添いはできないことを説明し、今回のみ同行して今後の方法を決めることで合意。訪問介護○○に通院介助の可否を確認(○日回答予定)。主治医への説明は本人同意のうえ訪問看護と共有する方向。管理者に報告済み。
場面3 毎週ゴミを出してほしい
○月○日、訪問時に本人より「ゴミを持って降りてほしい」と依頼。これまで○回対応していたが、継続はできない旨を説明し、○日までに代替手段を入れることで合意。自治体のふれあい収集の申請を案内(本人了承、○日に申請予定)。訪問介護○○に生活援助でのゴミ出しを相談。室内は玄関周りにゴミ袋4〜5袋、におい・虫はなし。管理者に報告済み。
場面4 身元保証人になってほしい
○月○日、○○病院(相談員○○氏)より入院にあたり身元保証人の記入を求められる。ケアマネ・事業所は身元保証人になれない旨を説明し、了承を得る。保証人に求める内容を確認したところ、緊急連絡先・支払い・退院時の調整の3点。緊急連絡先は当事業所で可(管理者確認済み)。支払いは本人の年金で見込みあり、社協の日常生活自立支援事業を本人に説明し、○日に社協へ連絡予定。退院時の調整はケアマネが担うことで病院と合意。包括○○にも共有。管理者に報告済み。
場面5 代わりにサインしてほしい
○月○日、○○施設(相談員○○氏)より入所契約書の署名について「ケアマネの代筆で」と依頼あり。ケアマネは代筆・代理での署名はできない旨を説明し、了承を得る。本人に相談員から契約内容(サービス内容・利用料・解約)を説明、本人「分かりました、お願いします」と口頭で同意(ケアマネ同席)。手の震えで署名が難しいため、施設の規程に沿って本人の意思確認を記録する形で対応することで合意。家族(長男)欄は○日までに郵送で署名予定、長男に電話で確認済み。管理者に報告済み。
場面6 帰りに買い物をしてきてほしい
○月○日、訪問時に本人より「帰りにパンと牛乳を買ってきてほしい」と依頼。これまで○回対応していたが、継続はできない旨を説明し、○日までに代わりの手段を入れることで合意。冷蔵庫内は飲料と調味料のみで主食が不足。訪問介護○○に生活援助での買い物代行(週1回・品目リスト方式)を相談。市の配食サービスを説明し、本人「弁当は試したい」とのことで、長男に申込みを依頼(○日連絡予定)。体重・食欲は前回と大きな変化なし。管理者に報告済み。
場面7 夜間・休日に電話がかかってくる
○月○日、本人より夜間(21〜23時)にケアマネ携帯へ電話が続く(今週3回、内容は「眠れない」「不安」)。緊急でない夜間の電話には対応できない旨を説明し、緊急時の連絡先(訪問看護○○・119)を書面で渡して了承を得る。不眠・不安について○日に主治医へ相談予定。訪問看護に夜間の電話の受け先として共有。日中の定期連絡を毎週○曜○時に設定。連絡先を携帯から事業所番号へ切り替えることを管理者と確認(○日から)。管理者に報告済み。
場面8 家の鍵を預かってほしい
○月○日、訪問時に本人より「倒れたときのために合鍵を持っていてほしい」と依頼あり。事業所の方針により鍵の預かりはできない旨を説明し、了承を得る。緊急時の対応として、①長男(市内在住・合鍵保有)を第一連絡先、②訪問介護○○はキーボックスで対応(事業所に○日確認予定)、③市の緊急通報システムを申請(本人了承、○日に申請予定)で合意。訪問時に応答がない場合の流れは次回サービス担当者会議で共有予定。管理者に報告済み。
場面9 薬を受け取ってきて、セットしてほしい
○月○日、訪問時に本人より「薬局に取りに行けないので受け取ってきてほしい。カレンダーにも入れてほしい」と依頼。机上に飲み残しの薬袋が多数(朝分が約2週間分)。ケアマネによる薬の受け取り・セットはできない旨を説明し、了承を得る。飲み残しについて主治医○○医師に○日に報告予定。かかりつけ薬局○○に薬剤師訪問の可否を確認(○日回答予定)。訪問介護○○に服薬の声かけを相談。長女へ電話し、薬の受け取りは薬局の配達へ切り替える方向で了承を得る。管理者に報告済み。
場面10 ペットの世話(餌やり・散歩・入院中の預かり)を頼まれた
○月○日、本人より「入院中(○日〜)、犬の餌やりと散歩をしてほしい。退院後も散歩を頼みたい」と依頼あり。ケアマネがペットの世話・預かりを担うことはできない旨を説明し、了承を得る。代わりに、入院中の預け先として長女(○○市)に電話で相談、長女宅で預かる方向で○日までに返答予定。難しい場合は動物病院のペットホテル(自費)を本人に案内。退院後の散歩については、本人の歩行状態を訪問リハ○○と確認し、本人が続けられる範囲と、難しい日の担い手(近隣の○○さん・自費のシッター)を次回訪問(○日)に本人と整理予定。管理者に報告済み。
※ペットの世話には介護保険のサービスは使えないのが原則です(訪問介護の生活援助の対象外。要確認)。ただ、ペットは本人の生きがいに直結するので、「誰が担うか」を一緒に整理するところまでは支援のうちです。
記録を書いたあとに確認する3つ
- 「断った」だけで終わっていないか(4の代替が書けているか)
- 相手の言葉と自分の説明が区別できているか
- 報告先と日付が入っているか(「管理者に報告済み」だけでなく、誰にいつ)
根拠・参考
- 居宅介護支援の業務はアセスメント・ケアプラン作成・連絡調整であり、金銭の預かり・代行、保証、代筆、生活行為の代行は含まれない(介護保険法上の居宅介護支援の範囲。条文名は要確認)
- 支援経過の記録は運営基準で整備・保存が求められている(指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準。記録の保存年限は基準と自治体の条例で異なるので要確認)
- 多くの事業所の運営規程・就業規則で、金品・鍵の預かり、保証人、代筆を禁じている(自事業所の規程を確認)
- 日常生活自立支援事業(社協)の実施要綱(要確認)
- 厚労省の検討会(介護支援専門員の業務の在り方)で、法定外業務は他の支援につなぐ方向が示されている(検討会名・年月は要確認)

このケース、どうする?
文例の前に線引きを確かめたいときは、35の困りごとから選ぶと「あなたの役割はここまで」と「次に誰につなぐか」が出ます。
困りごとから選ぶ →更新履歴:2026-10-02 公開(たたき台・監修中)
