となりのケアマネさん

文例・記録 2

家族への伝え方 文例集:「ケアマネの業務ではない」を冷たくしない20文

執筆:石田竜生(作業療法士・介護支援専門員資格(株式会社おふとん)) 実務の監修:主任介護支援専門員(大阪府・経験11年) 監修中 法律部分:司法書士・行政書士 確認中 公開 2026-10-02/更新 2026-10-02

家族から「それもケアマネさんがやってくれるんですよね」と言われて、業務外だと分かっているのにうまく言えない。言えたとしても、電話を切ったあと「冷たかったかな」と引きずる。そんなときに開く記事です。20文はどれも「ケアマネにはできない」で終わらず、「代わりに何をするか」まで一息で言える形にしています。

冷たくならない3つの型

家族への断りが冷たく聞こえるのは、「できない」で文が終わるからです。次の3つの型のどれかに当てはめると、同じ内容でも受け取られ方が変わります。

型組み立て一言でいうと
A できないこと+できること「○○は私の業務に入っていません。でも○○は私の仕事です」線を引いてから、こちら側を差し出す
B 理由+代わり「私がやると○○になってしまうので、代わりに○○の形にしたいです」理由は「決まり」より「ご本人が困る」で言う
C 今日でなく期限を切る「今週は私が対応します。○日までに○○が入る形にしましょう」いきなりやめない。やめる日を一緒に決める

3つに共通するのは、「ご家族のお気持ちは分かる」を最初に置くこと、そして最後を「お願いできますか」「一緒に決めませんか」で結ぶことです。

文例20本

### 1. 通帳を預かってほしい

場面:遠方の家族から「近くにいるケアマネさんが通帳を持っていて」

「私が通帳をお預かりすると、お母様のお金をケアマネが管理することになってしまい、それは制度上できない決まりになっています。代わりに、社協の金銭管理の仕組みか、ご家族の代理人カードで続けられる形を一緒に考えさせてください。」

### 2. 通院に毎回付き添ってほしい

場面:家族が仕事で行けず「先生の話を聞いてきて」

「通院の付き添いはケアマネの業務に入っていなくて、毎回は難しいです。ヘルパーさんの通院介助と介護タクシー、それでも足りない部分は自費のサービスという組み合わせで考えています。先生のお話はご家族が電話で聞ける形にできないか、病院に確認します。」

### 3. ゴミ出しを続けてほしい

場面:これまで何度か対応していて、家族も「助かってます」と言う

「ゴミ出しをケアマネが続けるのは業務の範囲を超えていて、私が来られない週に困ることになります。市の戸別収集と、ヘルパーの生活援助で毎週回る形にしたいので、申請の書類をお願いできますか。」

### 4. 身元保証人になってほしい

場面:施設入所の書類の保証人欄を「ケアマネさんの名前で」

「保証人の欄に私の名前を書くことは、決まりでできないんです。ただ、保証人がいないから入れない、ということにならないよう施設と話をします。緊急連絡先だけ、支払いだけ、と分けて考えられるので、ご家族にお願いできる範囲を教えていただけますか。」

### 5. 代わりにサインしてほしい

場面:家族が来られず「私の欄も書いといて」

「ご家族の欄を私が代わりに書くことは、あとで書類の効力に関わるのでできない決まりになっています。郵送で署名をお願いできますか。書類の準備と送付はこちらで整えます。」

### 6. 買い物をしてきてほしい

場面:「帰りにスーパー寄るついでに」

「買い物をケアマネが続けるのは業務の範囲を超えていて、私が来られない週に食べ物が途切れるのが一番心配です。ヘルパーさんの買い物代行と配食サービスで毎週回る形にしたいので、配食の申込みをご家族の名前でお願いできますか。書類の準備はこちらで整えます。」

### 7. 夜間・休日に電話がかかってくる

場面:日曜の夜に「今すぐ施設を探して」

「休日や夜にご連絡いただくお気持ちは分かります。ただ、私はその時間に動けず、かえってお待たせしてしまいます。緊急のときは○○(訪問看護・救急)、それ以外は翌営業日に事業所へ、という形にさせてください。ご家族のご相談は、月○回の定期の時間を決めて、そこでしっかり聞かせてください。」

### 8. 鍵を預かってほしい

場面:「何かあったら入れるようにケアマネさんが持ってて」

「私が鍵を持つと、何かあったときに『ケアマネが入れる状態だった』という責任を私と事業所が負うことになり、お預かりできない決まりになっています。代わりに、ご家族の合鍵を緊急時の基本にして、ヘルパーさんは鍵ボックスで対応、市の緊急通報を申し込む、という組み合わせにしたいです。合鍵はどなたがお持ちですか。」

### 9. 薬を受け取って、セットしてほしい

場面:「飲み忘れが多いから、ケアマネさんが確認して」

「お薬の管理はケアマネの仕事の範囲ではなくて、私が確認係になると、私が来ない日に飲めていない状態が続いてしまいます。薬剤師さんの訪問で配達とカレンダーへのセットをしてもらい、ヘルパーさんの訪問日に声かけを入れる形にしたいです。薬の受け取りをご家族にお願いできるか、難しければ薬局の配達に切り替えたいので、確認させてください。」

### 10. 役所の手続きを代わりにしてほしい

場面:「年金の書類、ケアマネさんが出しといて」

「介護保険の手続きは私の業務なので進めています。年金や住民票の手続きは、ケアマネが本人に代わって行えない決まりで、ご家族の委任状か、郵送での手続きになります。役所に確認したところ、○○の手続きは郵送で可能とのことでした。書類はこちらで本人と一緒に整えるので、ご家族に提出をお願いできますか。」

### 11. 入院の手続き・荷物・お迎えをしてほしい

場面:病院から「家族が遠いのでケアマネさんに」と言われ、家族もそのつもり

「入院のご連絡と、病院への情報のお伝えは私からしました。入院の手続きと持ち物、退院日のお迎えはご家族にお願いしたいのですが、来られる日はありますか。難しい日は、病院の相談員さんや介護タクシーで代わりの形を組みますので、一緒に決めさせてください。退院後のサービスの準備は私が進めます。」

### 12. 毎朝、安否確認の電話をしてほしい

場面:遠方の長男から「先月転んだので毎日電話して」

「毎朝の確認をケアマネが続けることはできないのですが、ご心配は分かりますので、『毎日誰かが気づける形』を作りたいと思っています。今、週2日は誰も来ない日があります。市の緊急通報装置と配食の安否確認、それから可能ならご家族の毎朝の電話かセンサーで、7日全部に見守りが入る形にしませんか。」

### 13. 亡くなった後のことも頼みたい

場面:家族が「自分たちは動けないので、そのときはケアマネさんに」

「ケアマネの支援はご本人が亡くなった時点で終わり、葬儀や荷物の引き取りは担えない決まりになっています。ただ、ご本人が『こうしてほしい』と考えていることを今のうちに聞いて残し、それを引き受けてくれる仕組み(死後事務委任など)につなぐことはできます。一度、包括や司法書士会の相談窓口の話を一緒に聞きませんか。」

### 14. 今すぐ施設を探してほしい

場面:家族が限界で「今週中にどこか入れて」

「限界まで頑張ってこられたことが伝わってきます。施設探しはご家族と一緒に進めますが、今週中に入所という形は現実には難しいです。まず今週を乗り切るためにショートステイの空きを今日確認します。そのうえで、施設の候補と見学の段取りを来週までに整えますね。」

### 15. 家族の話を毎日聞いてほしい

場面:介護している娘から毎日30分以上の電話

「お話を聞かせていただくのは大事なことだと思っています。ただ、毎日のお電話だと私のほうがきちんと聞けない日が出てしまうので、週に一度、○曜日の○時に時間を取らせてください。それとは別に、介護している方どうしで話せる家族会や、相談員がいる窓口もご紹介したいです。」

### 16. ヘルパーへの苦情を代わりに言ってほしい

場面:「直接言いにくいから、ケアマネさんから叱っておいて」

「ヘルパーさんとの間に立って調整するのは私の仕事なので、そこはお任せください。ただ、『叱る』という形ではなく、何があったかを事業所の責任者に事実として伝え、対応を確認する形にします。いつ、どんなことがあったか、もう少し詳しく教えていただけますか。」

### 17. 本人に内緒でサービスを変えてほしい

場面:「母は嫌がるけど、デイを増やしておいて」

「お母様のためを思ってのことだと分かります。ただ、サービスの契約はご本人が主体なので、ご本人に知らせずに変えることはできない決まりになっています。お母様が『それなら』と言える形を一緒に探しませんか。まず、なぜ嫌なのかを私からお母様に聞いてみます。」

### 18. 家族の分の家事もヘルパーにしてほしい

場面:同居の家族から「ついでに私たちの洗濯も」

「同じ家に住んでいると分けにくいのはよく分かります。ただ、介護保険で使えるのはご本人の分だけという決まりで、ご家族の分は対象になりません。ご家族の分も含めて頼みたい場合は、同じ事業所の自費サービスで続きの時間に入れる形があるので、料金を確認してお伝えしますね。」

### 19. お金を立て替えてほしい

場面:「利用料、今月だけケアマネさんが払っておいて」

「立て替えは、私と事業所の決まりでどうしてもできない形になっています。ただ、支払いが遅れてサービスが止まる事態は避けたいので、事業所に支払い日の相談を今日しておきます。今後のことは、引き落としの設定か、社協の支払い代行の仕組みを一緒に考えさせてください。」

### 20. 全部ケアマネさんに任せたい

場面:「私たちは何もできないので、あとはよろしく」

「ご家族が遠くて動けない事情はよく分かります。だからこそ、『何が起きたら誰が動くか』を今のうちに一緒に決めておきたいです。全部でなくていいので、緊急のときの連絡先と、お金のことの2つだけ、ご家族にお願いできる範囲を教えてください。それ以外の担い手は、私が地域の仕組みでそろえます。」

言ったあとに必ずすること

  • 伝えた内容と家族の反応を支援経過に残す(→ 文例1「支援経過記録の文例」の型)
  • 「○日までに」と言ったことは、その日までに必ず一報を入れる。約束を守ることが、断りを冷たくしない一番の方法です
  • 家族が納得していない場合は、管理者に共有して、次回は管理者同席で話す

根拠・参考

  • 居宅介護支援の業務はアセスメント・ケアプラン作成・連絡調整であり、金銭の預かり・保証・代筆・生活行為の代行は含まれない(介護保険法上の居宅介護支援の範囲。条文名は要確認)
  • 介護サービスの契約・同意の主体は本人。本人に判断力がある場合、家族の同意は法律上の要件ではない(要確認)
  • 訪問介護の生活援助は本人のための行為に限られ、同居家族の分は対象外(老計10号等の生活援助の範囲。要確認)
  • 多くの事業所の運営規程・就業規則で、金品・鍵の預かり、保証人、代筆、立て替えを禁じている(自事業所の規程を確認)
  • 国は、身元保証人がいないことのみを理由に入院・入所を拒まないよう医療機関・施設に求めている(厚労省の通知。名称・年月は要確認)
このケース、どうする?

文例の前に線引きを確かめたいときは、35の困りごとから選ぶと「あなたの役割はここまで」と「次に誰につなぐか」が出ます。

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更新履歴:2026-10-02 公開(たたき台・監修中)