
これ、私がやるの? ケース1
ケアマネが「通帳を預かって」と言われたら? 役割の線引きと断り方・記録例
執筆:石田竜生(作業療法士・介護支援専門員資格(株式会社おふとん))
実務の監修:主任介護支援専門員(大阪府・経験11年) 監修中
法律部分:司法書士・行政書士 確認中
公開 2026-10-02/更新 2026-10-02
よくある場面 独居の利用者から「振込が分からないから、あなたが持っておいて」。または遠方の家族から「近くにいるケアマネさんが管理してほしい」。

1まず結論
通帳・印鑑を預かるのはケアマネの仕事ではなく、預かった時点であなた個人と事業所が金銭の責任を負います。断りつつ、「お金の管理をどう続けるか」は一緒に組み立てます。
2あなたがすること
- 本人が何に困っているかを聞き取る(振込の手順が分からない/通帳をなくす/外出できない)
- 金銭管理の支援が要る状態かをアセスメントに残す
- 日常生活自立支援事業(社協)の説明と、つなぐ段取り
- 家族がいれば、家族が管理できるかの確認
- 支払いが滞ってサービスが止まらないよう、事業所と情報を共有
3あなたが抱えなくていいこと
- 通帳・印鑑・キャッシュカードを手元に置くこと(一時的でも)
- 引き出し・振込・支払いを本人に代わって行うこと
- 暗証番号を聞くこと
※「預からない」=「放っておく」ではありません。管理する人を決めるまでを支えます。
4次に確認すること
- 本人が契約の意味を理解できるか(社協の事業は本人の契約が要る)
- 支払いが今どこまで滞っているか(家賃・施設費・公共料金)
- 家族の有無と、家族が管理に動けるか
5誰につなぐか
| 順 | 先 | 何を |
|---|---|---|
| 1 | 社会福祉協議会(日常生活自立支援事業) | 通帳の預かり・支払いの代行。本人が契約できることが条件 |
| 2 | 地域包括支援センター | 本人の理解が難しい場合。権利擁護の相談、後見制度の入口 |
| 3 | 金融機関 | 代理人カード・自動引き落としの設定(家族がいる場合) |
| 4 | 権利擁護センター・司法書士会 | 財産が大きい、家族間で争いがある、本人の判断が難しい |
相談先の名前は地域で違います。「お住まいの市区町村名+窓口名」で検索してください。
6相手への伝え方
本人へ:
「私の事業所では、通帳をお預かりしないことになっているんです。でも、振込で困らないようにする方法はあります。社協さんに『お金の手続きを一緒にしてくれる仕組み』があるので、一度話を聞いてみませんか。」
家族へ:
「私が通帳をお預かりすると、お母様のお金をケアマネが管理することになってしまうので、私の事業所ではお受けしていません。代わりに、社協の金銭管理の仕組みか、ご家族の代理人カードで続けられる形を一緒に考えさせてください。」
7記録の残し方
○月○日、本人より「振込が分からないので通帳を預かってほしい」と依頼あり。事業所の方針により通帳等の預かりはできない旨を説明し、了承を得る。金銭管理の支援として社協の日常生活自立支援事業を説明。本人「話を聞いてみたい」とのことで、○日に社協へ連絡予定。支払いの滞りは現時点でなし(本人の申告)。管理者に報告済み。
この記録の文例は、ほかの34場面と並べて記録文例集にもまとめています →
あなたのケースは?
4つの質問に答えると、この記事の線引きが「あなたの答え」に合わせて整理され、相談メモになります。
あなたのケースを3分で整理する →- 誰から頼まれましたか
- 本人は、お金の出し入れの意味(何にいくら払うか)を理解できますか
- 頼まれた中身はどれに近いですか
- お金が理由なく減っている、知らない請求がある、という様子はありますか
8根拠
- ケアマネの業務は居宅介護支援(アセスメント・ケアプラン・連絡調整)で、金銭の預かり・代行は含まれない(介護保険法第8条第24項の居宅介護支援の定義)
- 多くの事業所の運営規程・就業規則で金品の預かりを禁じている(自事業所の規程を確認)
- 日常生活自立支援事業は社協が実施し、本人との契約で通帳の預かり・支払いの代行ができる(厚労省「日常生活自立支援事業」ページ・全国社会福祉協議会パンフレット「ここが知りたい 日常生活自立支援事業 なるほど質問箱」)
- 厚労省の検討会(介護支援専門員の業務の在り方)で、金銭管理などの法定外業務は他の支援につなぐ方向が示されている(厚労省「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会」中間整理、令和6年12月12日)
一次資料(リンク先を実際に開いて確認済み)
- 中間整理(本文)※別添「居宅介護支援事業所におけるケアマネジャーの業務について」厚生労働省 ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会・令和6年12月
- 日常生活自立支援事業パンフレット「ここが知りたい 日常生活自立支援事業 なるほど質問箱」「あなたのくらしのあんしんのために」/厚労省制度ページ/事務連絡「日常生活自立支援事業の適正な実施の徹底について」社会福祉法人全国社会福祉協議会/厚生労働省社会・援護局地域福祉課・パンフ2009・2010年改訂/事務連絡 令和3年12月21日
- 高齢者等終身サポート事業者ガイドライン内閣官房(身元保証等高齢者サポート調整チーム)・内閣府・金融庁・消費者庁・総務省・法務省・厚生労働省・経済産業省・国土交通省・令和6年6月
- ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会(第6回)参考資料「ケアマネジメントに係る現状・課題」厚生労働省老健局・令和6年12月2日
- 成年後見制度活用ハンドブック 令和6年6月版(第1章に「成年後見制度活用フローチャート」「成年後見制度活用検討シート」「みんなで共有シート」)堺市権利擁護サポートセンター(堺市社会福祉協議会)・令和6年6月
- 権利擁護が必要と思われる場合の対応/権利擁護支援に関わるスクリーニングシート(Excel)文京区社会福祉協議会 権利擁護センター あんしんサポート文京・—
本文の「要確認」は、上の資料で確認し次第、表記を確定します。
更新履歴:2026-10-02 公開(試作v1・監修中)
