となりのケアマネさん

これ、私がやるの? ケース9

死後のことまで頼まれた。ケアマネの役割はどこまでか

執筆:石田竜生(作業療法士・介護支援専門員資格(株式会社おふとん)) 実務の監修:主任介護支援専門員(大阪府・経験11年) 監修中 法律部分:司法書士・行政書士 確認中 公開 2026-10-02/更新 2026-10-02

よくある場面 身寄りのない利用者から「私が死んだら、あなたがお葬式をしてね」「この部屋の片づけも頼む」。または本人が亡くなり、施設・大家・病院から「ケアマネさん、荷物を引き取って」「葬儀はどうしますか」。

ノートを胸に抱えたおばあさんが静かに話し、ケアマネがうなずいて聞いている

1まず結論

亡くなった後の手続き(葬儀・遺品・死後事務)をケアマネが担うことはできません。ケアマネの支援は、本人が亡くなった時点で終わります。ただし、本人が元気なうちに「亡くなった後を誰に頼むか」を一緒に整えることは、生前の支援としてできます。あなたの役割は、本人の希望を聞いて残し、死後事務を担う人・仕組みにつなぐところまでです。

2あなたがすること

  • 本人の希望を聞き取り、残す(葬儀の形・お墓・部屋の片づけ・知らせてほしい人・ペット)
  • 親族の有無を確認する(本人の話。戸籍での調査が要るなら市町村へ)
  • 「死後事務委任契約」「遺言」「任意後見」という仕組みがあることを伝え、専門職につなぐ(中身の説明・契約は専門職が担う)
  • 費用の見通しを本人と確認する(葬儀費用・預貯金。生活保護なら葬祭扶助の可否を市町村へ)
  • 包括・主治医と「本人の意向」を共有する(ACPの一部として)
  • 本人が亡くなったときにケアマネの業務として行うこと(介護保険の終了に関わる手続き・サービス事業所への連絡・記録の締め)を整理しておく

3あなたが抱えなくていいこと

  • 葬儀の喪主・手配・費用の立て替え
  • 遺品・部屋の片づけ、鍵の管理
  • 死亡届・年金・相続などの行政・法律の手続き
  • 遺骨・遺体の引き取り
  • 大家・施設との精算の交渉

※「担わない」=「亡くなったら終わり、あとは知らない」ではありません。本人が生きているうちに「誰が担うか」を整え、亡くなった後は決めておいた人・仕組みに引き継ぎます。生前の支援は途切れさせません。

4次に確認すること

  1. 親族の有無と、連絡がとれるか(亡くなった後は市町村が親族を探す場合がある)
  2. 費用の見通し(本人の預貯金で葬儀などをまかなえるか、生活保護の葬祭扶助か)
  3. 本人の意向が文書で残っているか(エンディングノート・遺言・死後事務委任契約)

5誰につなぐか

順先何を
1地域包括支援センター身寄りがない人の死後の相談、専門職への橋渡し
2市町村(高齢福祉・生活保護・戸籍)親族調査、葬祭扶助、引き取り手がない場合の火葬(市町村の対応。墓地、埋葬等に関する法律第9条・生活保護法第18条)
3弁護士会・司法書士会・行政書士会・権利擁護センター死後事務委任契約・遺言・任意後見
4社会福祉協議会地域によっては死後事務の支援事業がある(要確認)
5民間の終身サポート事業者・葬儀社の生前契約本人が費用を負担できる場合。内閣府のガイドラインに沿った事業者かを確認
6大家・施設・病院の相談員亡くなった後の荷物・精算の手順(ケアマネは窓口にならない)

相談先の名前は地域で違います。「お住まいの市区町村名+窓口名」で検索してください。

6相手への伝え方

本人へ:

「○○さんが亡くなった後のことは、ケアマネの仕事の外にあって、私の事業所ではお引き受けしていないんです。でも、『こうしてほしい』という気持ちを聞いて残すことと、それを引き受けてくれる人や仕組みを一緒に探すことはできます。お葬式のこと、お部屋のこと、どんなふうに考えていますか。」

相手(施設・大家・病院)へ:

「ケアマネの支援はご本人が亡くなった時点で終わり、荷物の引き取りや葬儀の手配はできません。ご親族への連絡は、市の高齢福祉担当に相談していただく形になります。介護保険に関わる終了の手続きと、サービス事業所への連絡は私が行います。ご本人が生前に残していた意向は、○○(包括・専門職)が把握しています。」

7記録の残し方

○月○日、本人より「自分が死んだら葬儀と部屋の片づけをあなたに頼みたい」と話あり。亡くなった後の手続きをケアマネが担うことはできない旨を説明し、了承を得る。本人の希望(葬儀は小さく・費用は預貯金から・部屋の物は処分してよい・姪に知らせてほしい)を聞き取り記録。死後事務委任契約という仕組みがあることを説明し、本人「話を聞いてみたい」とのことで、包括○○を通じて司法書士会の相談窓口を○日に案内予定。費用の見通しは本人の預貯金で可能(本人の申告)。管理者に報告済み。

この記録の文例は、ほかの34場面と並べて記録文例集にもまとめています →

あなたのケースは?

4つの質問に答えると、この記事の線引きが「あなたの答え」に合わせて整理され、相談メモになります。

あなたのケースを3分で整理する →
  • いつの話ですか
  • 頼まれた中身はどれに近いですか
  • 親族は
  • 本人の資産は

8根拠

  • 居宅介護支援は本人の死亡により終了し、死後事務は業務に含まれない
  • 死後事務委任契約・遺言・任意後見は民法上の契約・制度で、専門職(弁護士・司法書士・行政書士)が担う(要確認)
  • 引き取り手のない遺体の火葬・埋葬は市町村が行う(墓地、埋葬等に関する法律第9条)
  • 生活保護受給者の葬儀は葬祭扶助の対象になり得る(生活保護法第18条)
  • 内閣官房・内閣府・金融庁・消費者庁・総務省・法務省・厚生労働省・経済産業省・国土交通省「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」(令和6年6月)
  • 厚労省「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」(令和元年6月。医政総発0603第1号で発出)
  • 遺品の処分は相続財産に関わり、相続人でない人が処分すると法的な問題になり得る(要確認)

一次資料(リンク先を実際に開いて確認済み)

本文の「要確認」は、上の資料で確認し次第、表記を確定します。

更新履歴:2026-10-02 公開(試作v1・監修中)