
これ、私がやるの? ケース16
入退院の手続き・荷物・お迎えを頼まれた。本来業務との分け方
執筆:石田竜生(作業療法士・介護支援専門員資格(株式会社おふとん))
実務の監修:主任介護支援専門員(大阪府・経験11年) 監修中
法律部分:司法書士・行政書士 確認中
公開 2026-10-02/更新 2026-10-02
よくある場面 独居の利用者が救急搬送。病院から「ご家族の代わりに手続きをしてほしい」「入院の持ち物を届けてほしい」。退院日が決まると「迎えに来てほしい」。家族は遠方か、いない。

1まず結論
入院手続きの代筆・持ち物の運搬・退院の送迎は、ケアマネの業務ではありません。一方で、入院時に病院へ情報を伝えること、退院前の情報連携、退院後の準備は本来業務で、むしろケアマネが中心になる場面です。「本来業務」と「頼まれごと」を分けて、頼まれごとの方は担う人を決めるところまでが役割です。
2あなたがすること
- 病院(病棟・相談員)に本人の状況を伝える(ケアプラン・服薬・生活状況・認知機能・家族の連絡先)
- 家族に入院を知らせ、手続き・持ち物・送迎を誰が担うかを確認する
- 家族が動けない場合、「家族の代わりに動く人がいない」ことを病院の相談員に早めに伝える
- 退院前カンファレンスに出席し、退院後のサービス再開・変更、福祉用具・住環境の準備を調整する
- 退院日に合わせて、退院当日〜翌日にサービスが入る形を作る
3あなたが抱えなくていいこと
- 入院手続きの代筆、保証人欄への署名
- 入院の持ち物を自宅から集めて病院へ運ぶこと
- 退院日の車での送迎、荷物の持ち帰り
- 入院中の洗濯物の交換や差し入れ
※「担わない」=「放っておく」ではありません。退院後の生活が途切れないように、退院日までに誰が何をするかを決めるのはあなたの仕事です。
4次に確認すること
- 家族が来られる日と、来られない間に病院が用意できるもの(日用品のレンタル・院内売店・相談員の支援)
- 退院日の見込みと、退院前カンファレンスの日程
- 退院時の移動手段(介護タクシー・家族)と、自宅の受け入れ準備(ベッド・手すり・サービスの初回訪問)
5誰につなぐか
| 順 | 先 | 何を |
|---|---|---|
| 1 | 病院の医療相談室(MSW・退院支援看護師) | 手続き・持ち物の相談、退院時の移動、家族がいない場合の調整。退院前カンファレンスの窓口 |
| 2 | 家族・親族 | 手続き・持ち物・送迎の主担当。遠方なら「郵送・電話でできること」を切り分ける |
| 3 | 地域包括支援センター | 身寄りがない・家族が動けない場合の相談。身元保証の相談先の案内 |
| 4 | 介護タクシー | 退院時の送迎(車いす・ストレッチャー対応) |
| 5 | 訪問介護事業所 | 退院日の自宅側の受け入れ(ベッドメイク・買い物)。入院中の持ち物準備は介護保険が使えないため、自費枠の有無を事業所に確認 |
| 6 | 社協・身元保証等の民間事業 | 身寄りがなく、保証人・入院中の日用品・退院時の対応を担う人がいない場合(費用は本人負担。契約内容は要確認) |
相談先の名前は地域で違います。「お住まいの市区町村名+窓口名」で検索してください。
6相手への伝え方
本人へ:
「入院の手続きや荷物、お迎えは、私が代わりに動くことができないんです。でも、退院してからの生活が困らないように準備するのは私の仕事です。ご家族と病院の相談員さんに、手続きと荷物をどう分担するか、今日中に確認しますね。」
家族へ:
「入院のご連絡と、病院への情報のお伝えは私からしました。入院の手続きと持ち物、退院日のお迎えはご家族にお願いしたいのですが、来られる日はありますか。難しい日は、病院の相談員さんや介護タクシーで代わりの形を組みますので、一緒に決めさせてください。退院後のサービスの準備は私が進めます。」
7記録の残し方
○月○日、病院○○病棟の看護師より「家族が遠方のため、入院手続きと持ち物の準備をケアマネにお願いしたい」と電話あり。ケアマネが手続きの代行・持ち物の運搬・送迎を担うことはできない旨を説明し、了承を得る。長女(○○在住)へ電話し入院を報告。長女は○日に来院可能で、入院手続きと持ち物はその日に対応する旨を確認。それまでの日用品は病院のレンタルを利用することで相談員○○氏と合意。入院時の情報提供書を○日に病院へ送付。退院前カンファレンスの日程は相談員より連絡予定。管理者に報告済み。
この記録の文例は、ほかの34場面と並べて記録文例集にもまとめています →
あなたのケースは?
5つの質問に答えると、この記事の線引きが「あなたの答え」に合わせて整理され、相談メモになります。
あなたのケースを3分で整理する →- 頼まれた中身はどれに近いですか
- 誰から頼まれましたか
- 動ける家族・親族はいますか
- 今はどの段階ですか
- 身元保証人・連帯保証人を求められていますか
8根拠
- 入院時に病院へ情報を提供すること、退院前のカンファレンスに参加すること、退院後のケアプランを作ることは居宅介護支援の業務で、加算の対象になっている(入院時情報連携加算・退院・退所加算)
- 入院手続きの代行・持ち物の運搬・送迎は居宅介護支援の業務に含まれない(介護保険法上の居宅介護支援の範囲。事業所の運営規程も確認)
- 身元保証人がいないことだけを理由に入院を断ることは適切でないとする厚労省の通知がある(医政局医事課長通知「身元保証人等がいないことのみを理由に医療機関において入院を拒否することについて」平成30年4月27日 医政医発0427第2号)
- 身寄りがない人の入院と医療の意思決定について、厚労省のガイドラインがある(「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」。令和元年6月)
- 入院中は介護保険の居宅サービスは原則として使えない(訪問介護に持ち物の準備を頼む場合は自費)
一次資料(リンク先を実際に開いて確認済み)
- 「市町村や地域包括支援センターにおける身元保証等高齢者サポート事業に関する相談への対応について」の一部改正について(老高発0730第1号・老認発0730第1号/介護保険最新情報Vol.1409)厚生労働省老健局高齢者支援課長・認知症施策・地域介護推進課長・令和7年7月30日
- 身元保証人等がいないことのみを理由に医療機関において入院を拒否することについて(医政医発0427第2号)厚生労働省医政局医事課長・平成30年4月27日
- 身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン厚生労働省医政局(平成30年度厚労科研 山縣班策定、医政総発0603第1号で周知)・令和元年6月3日
- 入退院時におけるケアマネジャーの医療機関等との連携・情報収集の手引き株式会社日本能率協会総合研究所(平成28年度老健事業)・平成29年3月
- ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会(第6回)参考資料「ケアマネジメントに係る現状・課題」厚生労働省老健局・令和6年12月2日
- 高齢者の身元保証に関する調査(行政相談契機)-入院、入所の支援事例を中心として- 結果報告書総務省関東管区行政評価局・令和4年3月
本文の「要確認」は、上の資料で確認し次第、表記を確定します。
更新履歴:2026-10-02 公開(試作v1・監修中)
