となりのケアマネさん

これ、私がやるの? ケース18

家の鍵を預かってと言われた。預からない理由と代わりの方法

執筆:石田竜生(作業療法士・介護支援専門員資格(株式会社おふとん)) 実務の監修:主任介護支援専門員(大阪府・経験11年) 監修中 法律部分:司法書士・行政書士 確認中 公開 2026-10-02/更新 2026-10-02

よくある場面 独居で「倒れたときのために」「訪問のたびに開けに行くのが大変だから」と合鍵を渡される。または家族から「何かあったら入れるように持っていて」。訪問介護からも「ケアマネさんが持ってますよね」。

玄関でおじいさんが合鍵を差し出し、ケアマネが手を小さく振っている

1まず結論

鍵を預かるのはケアマネの仕事ではなく、預かった時点で「いつでも入れる人」として、盗難・破損・侵入の疑いまであなたと事業所が負うことになります。ただし「倒れたときに誰かが入れる仕組み」を作るのはあなたの仕事で、鍵を預かるより確かな方法があります。

2あなたがすること

  • 鍵を預けたい理由の切り分け(開けに行くのが大変/緊急時/誰も持っていない/なくす)
  • 緊急時に入れる仕組みの整理(家族の合鍵、キーボックス、自治体の緊急通報システム、訪問介護の鍵の取り決め)
  • 訪問介護・訪問看護が鍵をどう扱っているかを確認し、サービス担当者会議で「誰が鍵を持つか」を共有する
  • 緊急連絡先と、訪問時に応答がないときの流れ(誰が誰に連絡し、誰が確認に入るか)を決めてケアプランに書く
  • 認知機能の低下で鍵をなくすなら、その背景のアセスメント

3あなたが抱えなくていいこと

  • 合鍵を手元に置くこと(「緊急のときだけ」「一時的に」でも)
  • 応答がないときに自分で解錠して入ること
  • 訪問介護など他事業所の鍵管理を代わりに引き受けること

※「預からない」=「倒れても誰も入れない」ではありません。預からなくても入れる仕組みを、本人・家族と決めるまでを支えます。

4次に確認すること

  1. 家族が合鍵を持っているか、遠方なら緊急時に何時間で来られるか
  2. 自治体の緊急通報システム(ペンダント型・センサー型)の有無と対象の条件
  3. 訪問介護・訪問看護の鍵の取り扱いルール(キーボックス使用の可否、預かる場合の預かり証の有無)

5誰につなぐか

順先何を
1自治体(緊急通報システム・見守り事業)ボタンひとつで通報、駆けつけ員が対応する仕組み。名称・要件は自治体ごとに違う
2地域包括支援センター見守りネットワーク、緊急時の対応の相談。認知症で閉め出し・外出のおそれがある場合
3家族・親族合鍵の保有者。緊急時の第一連絡先
4民生委員・近隣日常の見守り、応答がないときの声かけ役(鍵は持たない)
5訪問介護・訪問看護事業所鍵の取り扱いの契約(預かり証・管理規程)。キーボックス設置の相談
6民間の見守りサービス・鍵業者緊急駆けつけ、キーボックスの設置(費用は本人負担)

相談先の名前は地域で違います。「お住まいの市区町村名+窓口名」で検索してください。

6相手への伝え方

本人へ:

「私の事業所では、鍵をお預かりしないことになっているんです。でも、倒れたときに誰かが入れるようにしておきたいお気持ちはよく分かります。玄関に暗証番号で開く鍵ボックスを付けて、ヘルパーさんとご家族が番号を知っている形や、ボタンひとつで駆けつけてもらえる市の仕組みがあります。一緒に決めませんか。」

家族へ:

「私が鍵を持つと、何かあったときに『ケアマネが入れる状態だった』という責任を私と事業所が負うことになるので、私の事業所ではお預かりしていません。代わりに、ご家族の合鍵を緊急時の基本にして、ヘルパーさんは鍵ボックスで対応、市の緊急通報を申し込む、という組み合わせにしたいです。合鍵はどなたがお持ちですか。」

7記録の残し方

○月○日、訪問時に本人より「倒れたときのために合鍵を持っていてほしい」と依頼あり。事業所の方針により鍵の預かりはできない旨を説明し、了承を得る。緊急時の対応として、①長男(市内在住・合鍵保有)を第一連絡先、②訪問介護○○はキーボックスで対応(事業所に○日確認予定)、③市の緊急通報システムを申請(本人了承、○日に申請予定)で合意。訪問時に応答がない場合の流れは次回サービス担当者会議で共有予定。管理者に報告済み。

この記録の文例は、ほかの34場面と並べて記録文例集にもまとめています →

あなたのケースは?

4つの質問に答えると、この記事の線引きが「あなたの答え」に合わせて整理され、相談メモになります。

あなたのケースを3分で整理する →
  • 誰から頼まれましたか
  • 預かってほしい理由はどれに近いですか
  • 訪問介護・訪問看護は入っていますか
  • 本人の状態は

8根拠

  • 鍵の預かりは居宅介護支援の業務に含まれず、多くの事業所の運営規程・就業規則で金品・鍵の預かりを禁じている(自事業所の規程を確認)
  • 訪問介護等で鍵を預かる場合は、事業所として預かり証と管理規程を整えるのが一般的(事業所ごとに確認)
  • 多くの自治体に高齢者向けの緊急通報システム事業がある(名称・要件は自治体ごとに違う)
  • 緊急時に誰が鍵を開け、誰に連絡するかは、ケアプランの中で本人・家族・サービス事業所と決めておくこと(運営基準に「緊急時の連絡体制」そのものを定めた条文はない。事業所の運営規程・マニュアルを確認)
  • 応答がなく安否が心配なときの対応(家族への連絡、警察・消防への通報)は、鍵の有無にかかわらず事業所として流れを決めておく

更新履歴:2026-10-02 公開(試作v1・監修中)