
これ、私がやるの? ケース21
「救急車に乗ってください」と言われた。ケアマネの同乗、乗る・乗らないの線引き
執筆:石田竜生(作業療法士・介護支援専門員資格(株式会社おふとん))
実務の監修:主任介護支援専門員(大阪府・経験11年) 監修中
法律部分:司法書士・行政書士 確認中
公開 2026-10-02/更新 2026-10-02
よくある場面 訪問中に本人の様子がおかしく、救急車を呼んだ。家族は遠方。到着した救急隊から「ケアマネさんですよね、一緒に乗ってください」。乗ると病院で家族が来るまで帰れず、次の訪問に穴が開く。乗らないと後で「なぜ乗らなかった」と言われそうで怖い。

1まず結論
救急車への同乗は、ケアマネが必ず担う業務ではなく、乗るかどうかはあなたと事業所の判断です。あなたの役割は「本人の情報(既往・薬・かかりつけ・家族の連絡先)を救急隊に渡す」「家族に連絡し、病院で引き継ぐ相手を決める」ところまで。乗る場合も「家族が来るまで」など終わりを決めて乗ります。
2あなたがすること
- 救急隊に本人の情報を渡す(氏名・生年月日・既往歴・服薬(お薬手帳)・かかりつけ医・保険証・家族の連絡先・事業所の連絡先)。フェイスシートのコピーがあれば渡す
- 家族に連絡し、搬送先が決まったら伝える。「病院にはご家族が向かう」ことを救急隊・病院に伝える
- 同乗するかを決める(事業所の方針・次の予定・本人の状態で)。同乗するなら「家族が来るまで」「搬送先で引き継ぐまで」と終わりを決める。同乗しないなら、搬送先を確認して病院へ本人情報を送る段取りをする
- 管理者に連絡する(同乗する・しないの判断を共有。一人で決めない)
- 搬送後:入院時情報提供(本来業務)、サービス事業所への連絡、退院に向けた調整
- 落ち着いたら、この利用者の「次に救急のとき誰が動くか」(緊急連絡先・救急医療情報キット・訪問看護の24時間対応)を整える
3あなたが抱えなくていいこと
- 同乗を求められたとき「乗らなければならない」と思うこと(乗るかどうかは判断でよい)
- 病院で家族が来るまで何時間も待ち続けること(終わりを決めて引き継ぐ)
- 入院手続き・医療同意・支払いの保証(→ケース4・5)
- 「乗らなかったこと」の責任を一人で負うこと(事業所の判断として記録に残す)
※「乗らない」=「放り出す」ではありません。救急隊・病院に本人の情報が届き、家族に連絡がつき、その後の入院・退院の支援が続く形を作ります。支援は途切れさせません。
4次に確認すること
- 家族が病院に向かえるか、着くまでの時間(救急隊・病院に伝える)
- 本人の情報(お薬手帳・保険証・既往・かかりつけ医)が救急隊に渡っているか
- 事業所の救急時の方針(同乗の可否、移動手段、帰りの交通費の扱い、病院での待機の上限)
5誰につなぐか
| 順 | 先 | 何を |
|---|---|---|
| 1 | 家族・緊急連絡先 | 病院への駆けつけ、入院手続き |
| 2 | 自事業所(管理者) | 同乗する・しないの判断の共有、事業所の方針の確認 |
| 3 | 搬送先の病院(救急外来・医療相談室MSW) | 本人情報の送付、家族不在時の受け入れ手順、入院時情報提供 |
| 4 | 主治医・訪問看護 | 状態の共有。24時間対応の訪問看護が入っていれば、今後の急変時の窓口に |
| 5 | 自治体(救急医療情報キット・緊急通報システム) | 独居の人の救急時に本人情報が伝わる仕組み。名称・有無は自治体ごと |
| 6 | 地域包括支援センター | 家族がいない・連絡がつかない人の緊急時の支援体制 |
相談先の名前は地域で違います。「お住まいの市区町村名+窓口名」で検索してください。
6相手への伝え方
救急隊へ:
「担当ケアマネの○○です。ご本人の情報はこの用紙にまとめてあります(既往・お薬・かかりつけ・ご家族の連絡先)。ご家族には連絡済みで、○時ごろ病院に向かえるそうです。私は同乗できないのですが、搬送先が決まったら教えてください。病院に情報を送ります。」
(同乗する場合)「ご家族が着くまで同乗します。着いたら引き継いで戻ります。」
家族へ:
「○○さんが○時ごろ体調を崩され、救急車で○○病院に向かっています。ご本人の情報は救急隊に渡してあります。私は病院でずっと付き添うことはできないので、ご家族に向かっていただけますか。着くまでの間、病院には私から連絡を入れておきます。入院になった場合の情報提供や、退院に向けた調整は私が続けますので、そこはご安心ください。」
7記録の残し方
○月○日○時、訪問中に本人が○○(症状)となり、○時○分に119番通報。救急隊到着(○時○分)、隊員より同乗を求められる。管理者に電話し、事業所の方針と次の訪問予定から同乗しないことを決定。救急隊に本人情報(フェイスシート・お薬手帳・保険証・長女の連絡先)を渡す。長女に電話、○時ごろ病院へ向かうとのこと。搬送先が○○病院に決定(○時○分)、病院に本人情報をFAX送付し、長女が向かう旨を伝える。○時、長女より入院決定の連絡。入院時情報提供書を○日に送付予定。サービス事業所(訪問介護○○・通所○○)に入院を連絡。管理者に報告済み。
この記録の文例は、ほかの34場面と並べて記録文例集にもまとめています →
あなたのケースは?
5つの質問に答えると、この記事の線引きが「あなたの答え」に合わせて整理され、相談メモになります。
あなたのケースを3分で整理する →- 今どの場面ですか
- 家族は
- 本人は自分の状況(名前・持病・薬)を伝えられますか
- 事業所に救急時の方針はありますか
- あなたのこの後の予定は
8根拠
- 居宅介護支援の業務(アセスメント・ケアプラン・連絡調整)に救急車への同乗は含まれない。入院時の情報提供やサービス事業所への連絡は本来業務
- 厚労省「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会 中間整理」(令和6年12月)の別添で、「救急搬送時の同乗」は②保険外サービスとして対応し得る業務に例示されている(=法定業務ではないが、事業所の判断で対応する余地がある業務)
- 救急隊が同乗者を求めるのは、搬送中や病院で本人の情報を得るため。同乗が法令上の義務とされているものではない(救急業務の運用は要確認)
- 医療行為への同意・入院手続き・身元保証は同乗とは別の話で、ケアマネが代われない(中間整理では医療同意は④対応困難な業務。→ケース4・5)
- 自事業所の運営規程・緊急時対応マニュアル(同乗の扱い、移動手段、時間外の対応)を確認
- 調査:UAゼンセン日本介護クラフトユニオン「ケアマネジャーの業務実態に関するアンケート」(2024年、641名)で、救急車への同乗を経験したケアマネは70.2%(参考:https://gemmed.ghc-j.com/?p=60932)
- 参考:https://carenote.jp/kyukyusya-caremana/(同乗の判断で迷うケアマネの声の整理)
一次資料(リンク先を実際に開いて確認済み)
- 中間整理(本文)※別添「居宅介護支援事業所におけるケアマネジャーの業務について」厚生労働省 ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会・令和6年12月
- 身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン厚生労働省医政局(平成30年度厚労科研 山縣班策定、医政総発0603第1号で周知)・令和元年6月3日
- ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会(第6回)参考資料「ケアマネジメントに係る現状・課題」厚生労働省老健局・令和6年12月2日
本文の「要確認」は、上の資料で確認し次第、表記を確定します。
関連するケース
更新履歴:2026-10-02 公開(試作v1・監修中)
