
これ、私がやるの? ケース23
「電球くらい替えてよ」と言われた。ちょっとした手伝いの線引きと代わりの手配
執筆:石田竜生(作業療法士・介護支援専門員資格(株式会社おふとん))
実務の監修:主任介護支援専門員(大阪府・経験11年) 監修中
法律部分:司法書士・行政書士 確認中
公開 2026-10-02/更新 2026-10-02
よくある場面 訪問したら廊下が暗い。「電球、切れちゃって。ついでに替えてくれない?」脚立は押し入れの奥。5分で終わる話だし、断ると冷たい気がする。でも脚立から落ちたら誰の責任か。上司は「それくらいやってあげて」と言う。

1まず結論
電球交換のような「ちょっとした手伝い」はケアマネの業務ではありませんが、その場で安全に手を貸すこと自体が禁じられているわけではありません。線引きは「安全」と「続くかどうか」。脚立に登るなど事故につながることは引き受けず、「暗いままにしない」ために誰がやるかを決めるのがあなたの役割です。訪問のたびに何かあるなら、「暮らしの中で困りごとが増えている」サインとして受け取ります。
2あなたがすること
- 困りごとの中身を確認する(暗いのは廊下だけか/他にも切れているか/電球は家にあるか)
- 安全に手を貸せる範囲かを判断する(手が届く・座ったままできるなら、その場の判断でよい。脚立・椅子に登る、配線に触るものは引き受けない)
- 「暗いままにしない」ための担い手を決める(家族・近所/訪問介護(生活援助で対応できる範囲は事業所に確認)/シルバー人材センター・社協の有償ボランティア/賃貸なら管理会社/電気店)
- 「ちょっとした手伝い」が頻回になっているなら、生活のどこが回らなくなっているかをアセスメントに残す(高い所に手が届かない・力が入らない・視力)
- 予防の視点:切れにくい電球(LED)への交換、手の届く位置の照明、人感センサーライトなどの環境整備を提案する
- 上司から「やってあげて」と言われたら、「安全上、脚立には登らない」という線引きを事業所内で確認する
3あなたが抱えなくていいこと
- 脚立・椅子に登る作業(転倒・落下事故の責任をあなたと事業所が負うことになる)
- 電気の配線・工具を使う修理、家電の設定
- 家具の移動や重い物を運ぶこと
- 「訪問のたびの手伝い係」であり続けること
※「やらない」=「暗いまま帰る」ではありません。今日どうするか(家族に電話・ヘルパーの次回訪問・シルバーへの依頼・スタンドで応急)を本人と決めてから帰ります。支援は途切れさせません。
4次に確認すること
- 訪問介護が入っている場合、生活援助で電球交換に対応できるか(事業所の判断・保険者の考え方は地域で違う)
- シルバー人材センター・社協・自治体の生活支援サービス(有償ボランティア)が地域にあるか、料金と申込み方法
- 住まいが賃貸なら、設備の交換は管理会社・大家の対応範囲か
5誰につなぐか
| 順 | 先 | 何を |
|---|---|---|
| 1 | 家族・近所・友人 | まず頼めるか。「来たときにまとめて替える」も可 |
| 2 | 訪問介護(生活援助) | 対応できる範囲は事業所と保険者の判断。「ついで」ではなく計画に入れる |
| 3 | シルバー人材センター・社協の有償ボランティア・自治体の生活支援サービス(総合事業) | 電球交換・高所の軽作業。名称と料金は地域ごと |
| 4 | 賃貸の管理会社・大家/UR・公営住宅の管理事務所 | 設備(共用部・備え付け照明)の交換 |
| 5 | 地域の電気店・家電量販店・便利屋(自費) | 交換・照明器具の取り替え。出張料は本人負担 |
| 6 | 福祉用具・住宅改修の相談(ケアマネ経由) | 手元スイッチ・センサーライトなどの環境整備(対象になるかは要確認) |
相談先の名前は地域で違います。「お住まいの市区町村名+窓口名」で検索してください。
6相手への伝え方
本人へ:
「暗いのは危ないですね。手が届く所なら今替えますが、脚立に登るのは、もし落ちたら○○さんにもご迷惑がかかるので、私の事業所ではしないことになっているんです。今日は娘さんに電話して、週末に替えてもらえるか聞いてみましょう。それまでは、この電気スタンドを廊下に置きませんか。」
家族へ:
「廊下の電球が切れていて、暗くて転倒が心配です。脚立に登る作業は、事故のときの責任もあってケアマネでは対応できないので、週末に替えていただけますか。難しければ、シルバー人材センターに頼む方法もあります。今後は手の届く位置の照明や、切れにくいLEDにする相談もできます。」
7記録の残し方
○月○日、訪問時に本人より「廊下の電球を替えてほしい」と依頼。天井の照明で脚立が必要なため、安全上ケアマネでは対応できないことを説明し、了承を得る。当面の対応として電気スタンドを廊下に移動(本人了承)。長女に電話し、○日(土)に交換してもらうことで合意。今後の予防としてLED電球と人感センサーライトを長女に提案。他に手の届かない作業(換気扇の掃除・カーテンの付け替え)が出ていることを確認し、シルバー人材センターの情報を提供。管理者に報告済み。
この記録の文例は、ほかの34場面と並べて記録文例集にもまとめています →
あなたのケースは?
4つの質問に答えると、この記事の線引きが「あなたの答え」に合わせて整理され、相談メモになります。
あなたのケースを3分で整理する →- 頼まれたことは
- 危なさは
- 頻度は
- 本人のまわりに頼める人は
8根拠
- 居宅介護支援の業務に家事・軽作業は含まれない。ただし、その場で安全に手を貸すことを禁じる決まりがあるわけではなく、線引きは事業所の判断(自事業所の運営規程・事故対応の考え方を確認)
- 厚労省「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会 中間整理」(令和6年12月)の4分類では、家事支援は③他機関につなぐべき業務に例示されている(電球交換そのものの記載はない)
- 訪問介護の生活援助の範囲は老計10号(訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について)と老振76号(生活援助の対象にならない行為の例示)が目安。電球交換が生活援助に含まれるかは保険者(市町村)の判断が分かれる(老計10号=平成12年3月17日 老計第10号、老振76号=平成12年11月16日 老振第76号)
- 訪問先での事故(転倒・落下)は労災の対象になる場合があるが、業務外の作業での事故は責任の扱いが難しくなる(要確認)
- 調査:日本総合研究所「保険外サービス活用推進に関する調査研究事業」(2020年、716件)で、「簡単な生活支援(電球交換等)」を求められるケアマネは7割超(参考:https://kaigoshoku.mynavi.jp/contents/kaigonomirailab/news/medicalnursingnews/20210623/)
- 参考:https://healthrent.duskin.jp/column/caremanagement/practice/08/(業務範囲の整理)
一次資料(リンク先を実際に開いて確認済み)
- 中間整理(本文)※別添「居宅介護支援事業所におけるケアマネジャーの業務について」厚生労働省 ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会・令和6年12月
- 地域包括ケアシステム構築に向けた公的介護保険外サービスの参考事例集 保険外サービス活用ガイドブック厚生労働省・農林水産省・経済産業省・平成28年3月
- 生活支援コーディネーターの役割とその実践について医療経済研究機構 服部真治(九州厚生局 生活支援コーディネーター交流会)・令和6年10月11日
本文の「要確認」は、上の資料で確認し次第、表記を確定します。
更新履歴:2026-10-02 公開(試作v1・監修中)
