
これ、私がやるの? ケース24
書類と記録が終わらない。最低限と減らせる工夫、抱え込まない線
執筆:石田竜生(作業療法士・介護支援専門員資格(株式会社おふとん))
実務の監修:主任介護支援専門員(大阪府・経験11年) 監修中
法律部分:司法書士・行政書士 確認中
公開 2026-10-02/更新 2026-10-02
よくある場面 訪問から戻ると机に書類の山。月末月初は給付管理で時間が足りない。支援経過は「後で書こう」が溜まっていく。会議録を家に持ち帰る。「全部きちんと書かなきゃ」と思うほど手が止まる。

1まず結論
記録・書類はケアマネの本来業務そのものですが、「全部を完璧に」書く必要はありません。運営基準で求められる記録の「最低限」を押さえ、それ以外は削る・型にする・分担する。あなたの役割は「必要な記録が、必要なタイミングで、残っている」状態を作るところまでで、「立派な記録を書く」ことではありません。
2あなたがすること
- 「求められている記録」と「自分が足している記録」を分ける(運営基準・保険者の運営指導の項目で確認)
- 支援経過は「事実・依頼者・自分の対応・報告先」の4点を短く(各ケースの「7. 記録の残し方」がそのまま型)。その日のうちに書く仕組みを作る(訪問直後に車内で入力、音声入力など)
- モニタリングは「訪問日・本人の状態・目標の達成状況・プランの変更要否」を1枚に。様式を事業所で統一する
- 給付管理は月末月初に集中するので、実績の受け取り期限と方法を事業所と事前に決める
- テンプレ・定型文・ICT(ケアプランデータ連携システム・記録ソフト・音声入力)を管理者に提案する
- 事務作業(実績入力・書類の発送・FAX対応)を事務職員に分けられるか、管理者と相談する
- 「書けなかった日」があっても、後から「○日の記録を○日に追記」と正直に残す(遡って作り込まない)
3あなたが抱えなくていいこと
- 支援経過を毎回長文で書くこと(事実が分かれば短くてよい)
- 運営基準にない書類を自分で足し続けること
- 事務作業(実績の転記・FAX・発送)を全部ケアマネが担うこと
- 記録を家に持ち帰ること(個人情報の持ち出しは事業所の規程に反する場合が多い)
- 「運営指導で何を言われるか分からない」不安を一人で抱えること(管理者・保険者に確認できる)
※「短く書く」=「手を抜く」ではありません。記録は本人への支援が途切れないためのものであって、記録のための記録ではない。最低限を落とさなければ、支援は途切れません。
4次に確認すること
- 運営基準と保険者の運営指導で求められる記録の項目・頻度(モニタリングの訪問と記録の頻度、支援経過、担当者会議の記録、記録の保存年限)
- 事業所のテンプレ・様式・記録ソフトの機能で使っていないもの(定型文・音声入力・データ連携)
- 実績・提供票の受け渡しの期限と方法(事業所ごとにバラバラなら管理者から統一を依頼)
5誰につなぐか
| 順 | 先 | 何を |
|---|---|---|
| 1 | 自事業所(管理者・主任ケアマネ) | 記録の基準の統一、テンプレ、分担、ICT導入 |
| 2 | 保険者(市町村の介護保険担当) | 運営指導で確認される記録の項目。「何が必須か」を直接聞ける |
| 3 | 事務職員(いれば) | 実績入力・書類発送・FAX対応 |
| 4 | 介護ソフトのベンダー・ケアプランデータ連携システム | 定型文・音声入力・提供票の電子共有 |
| 5 | 地域の主任ケアマネの会・職能団体(介護支援専門員協会)・都道府県の相談窓口 | 他事業所の記録の工夫、シャドウワークの相談窓口(設置している都道府県がある) |
| 6 | 地域包括支援センター | 一人ケアマネの相談先、事例検討 |
相談先の名前は地域で違います。「お住まいの市区町村名+窓口名」で検索してください。
6相手への伝え方
管理者へ:
「支援経過とモニタリング記録が溜まっていて、月末月初は給付管理で残業になっています。運営指導で求められる最低限の項目を確認したうえで、支援経過の型(事実・依頼・対応・報告)を事業所で統一したいです。実績入力とFAX対応を事務さんに分けられないか、記録ソフトの音声入力を使えないかも相談させてください。」
サービス事業所へ(実績の期限):
「毎月の実績は、○日までにいただけると給付管理に間に合います。難しい場合は、確定前の予定でも先に送っていただき、変更分だけ後から連絡をいただく形でもかまいません。ケアプランデータ連携システムで送っていただけると、転記がなくなるので助かります。」
7記録の残し方
(支援経過の型の例)○月○日 訪問。本人より「廊下の電球交換」の依頼あり。安全上ケアマネでは対応できない旨を説明し了承。長女に電話、○日に交換で合意。管理者に報告。
(書けなかった日の追記の例)○月○日の訪問について、○月○日に追記。本人の状態は前回と変化なし、目標の達成状況は継続。プランの変更なし。管理者に報告済み。
この記録の文例は、ほかの34場面と並べて記録文例集にもまとめています →
あなたのケースは?
5つの質問に答えると、この記事の線引きが「あなたの答え」に合わせて整理され、相談メモになります。
あなたのケースを3分で整理する →- いちばん溜まっているのは
- 記録の書き方は
- 事業所の体制は
- 記録の様式やテンプレは
- 「書かなきゃ」の基準は
8根拠
- 居宅介護支援の運営基準(指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準。平成11年厚生省令第38号)で、居宅サービス計画の作成過程、モニタリング(少なくとも1月に1回の利用者宅訪問と、少なくとも1月に1回の結果の記録)、担当者会議の記録、支援経過の記録が求められている(第13条第14号・第29条第2項)。2024年度改定で、一定の条件のもとテレビ電話等によるモニタリングが可能になった(第13条第14号ロ。令和6年厚生労働省令第16号による改正)
- 記録の保存は「完結の日から2年間」が運営基準の定め(自治体の条例でより長い場合がある。要確認)
- 給付管理票は毎月、国保連に提出する(提出期限は国保連ごとに要確認)
- 居宅サービス計画書の標準様式・記載要領の見直し(「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」の一部改正、令和3年3月31日、介護保険最新情報Vol.958)で、支援経過は事実・判断・対応を簡潔に記載する考え方が示されている
- 厚労省「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会 中間整理」(令和6年12月)で、書類作成の負担軽減・ICT活用・事務職員との分担が課題として示されている
- ケアプランデータ連携システム(国保中央会)と、2024年度改定での逓減制の緩和(ICT活用・事務職員配置の場合)(厚労省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」)
- 個人情報の持ち出し(自宅への持ち帰り)は事業所の個人情報保護の規程で制限されている場合が多い(自事業所の規程を確認)
- 調査:エス・エム・エス「ケアマネ467名の本音」(2026年1月発表)で、シャドウワークに負担を感じる94.8%、事業所との連絡手段は電話95.3%・FAX79.7%(参考:https://i.care-mane.com/news/entry/blog-202601-3)
- 参考:https://mane-c.com/209/(月末月初・持ち帰りの実態の整理)
一次資料(リンク先を実際に開いて確認済み)
- 中間整理(本文)※別添「居宅介護支援事業所におけるケアマネジャーの業務について」厚生労働省 ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会・令和6年12月
- 居宅介護支援事業所における介護支援専門員等の業務実態に関する調査研究事業(別添1 概要)株式会社三菱総合研究所(厚労省 令和7年度老人保健健康増進等事業)・令和7年度
- 居宅介護支援における業務負担等に関する調査研究事業(別添1 概要)株式会社三菱総合研究所(令和2年度老健事業)・令和2年度
本文の「要確認」は、上の資料で確認し次第、表記を確定します。
更新履歴:2026-10-02 公開(試作v1・監修中)
