となりのケアマネさん

これ、私がやるの? ケース25

「犬の散歩もお願い」ペット・植物の世話を頼まれたときの線引き

執筆:石田竜生(作業療法士・介護支援専門員資格(株式会社おふとん)) 実務の監修:主任介護支援専門員(大阪府・経験11年) 監修中 法律部分:司法書士・行政書士 確認中 公開 2026-10-02/更新 2026-10-02

よくある場面 独居で犬を飼っている。「散歩に行けなくなったから、来たときに連れて行って」「入院の間、猫の餌をお願い」。ベランダの植木も枯れかけている。本人にとってペットは家族で、断ると本人の気持ちが崩れそう。

おばあさんが犬のリードを差し出し、ケアマネが困った笑顔をしている

1まず結論

ペットや植物の世話はケアマネの業務ではなく、訪問介護の生活援助でも原則対象外です。ただし、本人にとってペットは暮らしの支えで、「世話ができない」は生活が崩れ始めているサインでもあります。あなたの役割は、ペットの世話を誰がどう担うか(家族・地域・民間)を本人と決め、本人が飼い続けられない日が来たときの道筋まで一緒に考えるところまでです。

2あなたがすること

  • ペットが本人にとってどんな存在かを聞く(生きがい・話し相手・散歩に出る理由)。アセスメントに残す
  • 世話のどこができなくなったかを分ける(散歩/餌/トイレ/動物病院/費用)
  • 担い手を探す(家族・近所・知人/シルバー人材センター(犬の散歩を受けている地域がある)/ペットシッター/動物病院/自治体の動物愛護担当・保護団体)。本人と一緒に選ぶ
  • 訪問介護には「本人の身の回りの援助のついで」で頼まない(生活援助の対象外。事業所に自費サービスがあるかは確認)
  • 入院・入所が近いなら、その間の預け先(ペットホテル・シッター・知人)と費用を本人・家族と決めておく
  • 飼い続けるのが難しくなってきたら、本人の気持ちを聞きながら、譲渡・引き取りの相談先(自治体・保護団体)を早めに伝える
  • 「もし本人に何かあったら、ペットはどうするか」を本人と話し、記録に残す(緊急連絡先の人にも伝えておく)

3あなたが抱えなくていいこと

  • 訪問のたびの散歩・餌やり・トイレ掃除
  • 入院中の餌やりに通うこと、ペットを預かること
  • 動物病院への送迎・費用の立て替え
  • ペットのことでの夜間の電話に出ること(→ケース8)
  • 本人が飼えなくなったとき、ペットの引き取り先を「あなたが」引き受けること

※「世話をしない」=「ペットを見捨てる」ではありません。世話をする人が決まるまで、そして本人が飼えなくなる日が来ても、道筋がつくまで一緒に考えます。支援は途切れさせません。

4次に確認すること

  1. 地域で頼める先(シルバー人材センターの散歩の受託・ペットシッター・動物病院のペットホテル・保護団体)と料金
  2. 本人の費用の見通し(餌・病院・シッター代を払い続けられるか)
  3. 入院・入所・万一のときのペットの行き先が決まっているか(家族・知人・保護団体)

5誰につなぐか

順先何を
1家族・近所・友人・飼い主仲間散歩・餌やり・入院中の預かり。まず頼めるか
2シルバー人材センター・社協の有償ボランティア犬の散歩・餌やり・水やり(受けているかは地域ごと)
3ペットシッター・ペットホテル・動物病院定期の世話・入院中の預かり・通院。費用は本人・家族負担
4自治体の動物愛護担当・動物愛護センター飼えなくなったときの相談、譲渡の仕組み。地域版で差し替え
5動物保護団体・NPO(高齢者のペット支援をしている団体)引き取り・一時預かり・譲渡先探し。地域版で差し替え
6訪問介護事業所の自費サービス生活援助の外で、自費で対応している事業所があれば
7地域包括支援センター独居・身寄りなしでペットがいる人の支援の相談、地域資源

相談先の名前は地域で違います。「お住まいの市区町村名+窓口名」で検索してください。

6相手への伝え方

本人へ:

「○○ちゃん(ペット)が○○さんの大事な家族だということ、よく分かります。散歩を私が続けるのは、他のお宅にも行っているので難しいんです。でも、○○ちゃんと一緒に暮らし続けられるように、散歩をお願いできる人を一緒に探しましょう。シルバーさんが犬の散歩を受けてくれる地域もあるので、聞いてみますね。」

家族へ:

「お母様は犬の散歩が難しくなってきていて、私やヘルパーが世話をすることはできない範囲なんです。ただ、犬がいることがお母様の元気の源なので、飼い続けられる形を考えたいと思っています。散歩はシルバー人材センターかシッターさんに頼み、入院のときの預け先も今のうちに決めておきたいので、ご家族で引き受けられる部分があるか教えてください。」

7記録の残し方

○月○日、訪問時に本人より「犬の散歩を訪問のときに連れて行ってほしい」と依頼。ペットの世話はケアマネ・訪問介護で対応できない旨を説明し、了承を得る。本人にとって犬は「話し相手で、生きがい」とのこと。散歩の担い手として、シルバー人材センターに犬の散歩の受託可否を○日に確認予定、本人「頼めるなら頼みたい」。餌やり・トイレ掃除は本人が継続可能と確認。入院時の預け先は未定のため、次回訪問時に長男と相談することで合意(長男に電話済み)。万一の際の犬の引き取りは長男「考えておく」とのこと。管理者に報告済み。

この記録の文例は、ほかの34場面と並べて記録文例集にもまとめています →

あなたのケースは?

5つの質問に答えると、この記事の線引きが「あなたの答え」に合わせて整理され、相談メモになります。

あなたのケースを3分で整理する →
  • 頼まれた中身は
  • 本人はペットの世話をどこまでできますか
  • ペットの状態は
  • 本人の今後は
  • 家族・知人に頼める人は

8根拠

  • 居宅介護支援の業務にペット・植物の世話は含まれない
  • 訪問介護の生活援助の対象にならない行為として、「ペットの世話」「草むしり・花木の水やり」が通知で例示されている(老振76号「指定訪問介護事業所の事業運営の取扱等について」。平成12年11月16日)
  • 厚労省「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会 中間整理」(令和6年12月)の4分類では、家事支援は③他機関につなぐべき業務。ペットの世話の記載はない
  • 飼い主が飼えなくなった場合の相談・引き取りは自治体の動物愛護担当(動物の愛護及び管理に関する法律に基づく。引き取りの要件は自治体ごと。要確認)
  • 本人の生きがい・役割としてのペットはアセスメントの対象(ICFの「活動と参加」の視点。要確認)
  • 調査:UAゼンセン日本介護クラフトユニオン「ケアマネジャーの業務実態に関するアンケート」(2024年、641名)で、ペット・植物の世話を行ったケアマネは88.6%(本来業務外の中で最多)(参考:https://gemmed.ghc-j.com/?p=60932)
  • 参考:https://job.kiracare.jp/note/article/1576/(ペットの世話を頼まれるケアマネの声の整理)

一次資料(リンク先を実際に開いて確認済み)

本文の「要確認」は、上の資料で確認し次第、表記を確定します。

関連するケース

更新履歴:2026-10-02 公開(試作v1・監修中)