となりのケアマネさん

これ、私がやるの? ケース26

行方不明で「探して」と言われた。ケアマネがやること・やらないこと

執筆:石田竜生(作業療法士・介護支援専門員資格(株式会社おふとん)) 実務の監修:主任介護支援専門員(大阪府・経験11年) 監修中 法律部分:司法書士・行政書士 確認中 公開 2026-10-02/更新 2026-10-02

よくある場面 認知症の利用者が朝から見当たらない。家族から電話で「一緒に探してほしい」「どこに行きそうか心当たりは」。独居の場合は通所の送迎で不在が分かり、事業所から「ケアマネさん、どうしますか」と連絡が来る。(自治体によっては「徘徊」を「ひとり歩き」と言い換えています)

心配そうな家族の横で、ケアマネが地図を広げて電話をしている

1まず結論

探して回るのはケアマネの役割ではありません。行方不明は時間が命なので、あなたの役割は「家族が今すぐ警察に届けられるよう背中を押し、本人の情報を整え、関係する事業所と地域に連絡の網を張る」ところまでです。国の整理でも、徘徊時の捜索は「他機関につなぐ業務」(警察・行政・包括・民生委員との連携)に例示されています。

2あなたがすること

  • 家族に「まず110番か最寄りの警察署に行方不明者届」を促す。認知症の方は早く届けてよい。遠慮して待つほど探す範囲が広がる
  • 警察に伝える情報を家族と一緒に整える(身長・体格・服装・持ち物・杖や車いす・よく行く場所・以前いなくなったときに見つかった場所・写真・見守りシールやGPSの登録番号)
  • 関係する事業所(通所・訪問介護・訪問看護)に連絡する。最後に見た時刻、今日の利用予定、送迎ルートでの気づき、見つけたら連絡してもらうこと
  • 包括・市町村に「認知症高齢者等SOSネットワーク」(名称は自治体で違う)の発動を相談する
  • 見つかったら、体調の確認(脱水・転倒・受診の要否)を家族・訪問看護・主治医と確認し、関係先に「見つかった」を連絡する
  • 落ち着いてから、再発防止をプランに組み込む(事前登録・GPS・見守りシール・日中の居場所・鍵や玄関の工夫・介護度や支援の見直し)

3あなたが抱えなくていいこと

  • 自分の車や足で探し回ること(他の利用者の支援が止まり、移動中の事故の責任も負えない)
  • 家族に代わって警察に届け出る役(原則は家族。家族がいない場合は「誰が届けられるか」を警察に確認する)
  • 見つからなかった責任、「なぜもっと早く気づかなかったのか」という責任
  • 夜間・休日に連絡を待ち続けること(連絡先を事業所の番号と家族に絞る)

※「探しに出ない」=「何もしない」ではありません。連絡の網を張り、見つかった後の受診と再発防止まで、支援を途切れさせません。

4次に確認すること

  1. 最後に確認された時刻・場所・服装(警察で最初に聞かれる)
  2. 事前登録(SOSネットワーク・見守りシール・GPS)の有無と登録番号
  3. 家族が警察に届けたか。届けられる人がいるか

5誰につなぐか

順先何を
1警察(110番/最寄りの警察署)行方不明者届。認知症の方は早く届けてよい。保護されたときの連絡先を伝える
2市町村・地域包括支援センター(認知症高齢者等SOSネットワーク・見守りシール・GPS貸与)ネットワークの発動、事前登録、再発防止の相談
3通所・訪問介護・訪問看護など関係事業所最後の目撃情報、送迎ルートでの気づき、発見時の連絡
4民生委員・自治会・よく行く店地域での気づき(声かけは家族から)
5主治医・訪問看護見つかった後の体調確認、行動・心理症状の相談
6民間のGPS・見守りサービス家族が契約。費用は家族負担

相談先の名前は地域で違います。「お住まいの市区町村名+窓口名」で検索してください。

6相手への伝え方

家族へ(電話がかかってきたとき):

「すぐ警察に電話してください。認知症の方は早く届けて大丈夫で、遠慮して待つほど探す範囲が広がります。私はデイとヘルパーさんに連絡して、最後に見かけた時間と、気づいたら知らせてもらうように頼みます。警察に伝える服装と、よく行く場所を、今一緒に整理しましょう。私自身が探しに出ることはできないのですが、連絡はここでずっと受けます。」

警察へ(事業所として情報を伝えるとき):

「○○さんの担当ケアマネジャーの○○です。ご家族が届け出た件で、ご本人の情報をお伝えします。認知症の診断があり、歩ける距離は○○くらい、以前は○○で見つかっています。通っている事業所は○○です。見つかった際は、ご家族と当事業所(番号○○)にご連絡ください。」

本人へ(見つかった後):

「無事でよかったです。お出かけしたかったんですね。次から、行きたいときに困らないように、一緒に考えましょう。」

7記録の残し方

○月○日○時、長女より電話で「母が朝から見当たらない。一緒に探してほしい」と依頼。最後の確認は同日○時頃、自宅(服装:○色の上着、杖なし)。ケアマネが捜索に出ることはできない旨を伝え、長女がすぐ110番することで合意(○時、長女より届出済みの連絡あり)。通所○○・訪問介護○○に連絡し、本日の利用なし・目撃情報なし、気づき次第の連絡を依頼。包括○○にSOSネットワークの発動を相談(○時)。○時、○○付近で保護との連絡が警察より長女へ、長女より当事業所へ。外傷なし、念のため○日に主治医受診予定。再発防止として見守りシール・GPSの登録を○日に長女と検討予定。管理者に報告済み。

この記録の文例は、ほかの34場面と並べて記録文例集にもまとめています →

あなたのケースは?

5つの質問に答えると、この記事の線引きが「あなたの答え」に合わせて整理され、相談メモになります。

あなたのケースを3分で整理する →
  • 今の状況はどれに近いですか
  • 警察への届出は
  • 頼まれたのは
  • 家族は
  • 事前登録(見守りシール・GPS・SOSネットワークなど)は

8根拠

  • 厚労省「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会 中間整理」(令和6年12月)の別添で、「徘徊時の捜索」は③他機関につなぐべき業務に例示され、対応例として行政・包括・民生委員等との連携(見守りネットワーク)が示されている
  • 居宅介護支援の法定業務(アセスメント・ケアプラン・連絡調整)に捜索は含まれない。関係事業所への連絡と見守りの体制づくりは連絡調整の範囲
  • 行方不明者届は警察に出す。届出できる人は親族等で、福祉関係者が届け出られる場合もある(行方不明者発見活動に関する規則 第6条。個別には警察に確認)
  • 多くの市町村が認知症高齢者等SOSネットワーク・見守りシール・GPS貸与などを実施している(介護保険法の地域支援事業・認知症施策。名称・要件は自治体ごと)
  • 共生社会の実現を推進するための認知症基本法(令和5年法律第65号、令和6年1月施行。第15条)で、地域での見守りの体制づくりが示されている
  • 参考:あるある収集 #34(家族から捜索を頼まれる) https://caps-plus.jp/2025/05/26/ / #95(「利用者がいなくなった」と連絡が来る) https://www.carejinzaibank.com/column/caremanager/care_quit/

一次資料(リンク先を実際に開いて確認済み)

本文の「要確認」は、上の資料で確認し次第、表記を確定します。

更新履歴:2026-10-02 公開(試作v1・監修中)