となりのケアマネさん

これ、私がやるの? ケース27

主治医に連絡しづらい。医師との連携が取りにくいときの入口と突破口

執筆:石田竜生(作業療法士・介護支援専門員資格(株式会社おふとん)) 実務の監修:主任介護支援専門員(大阪府・経験11年) 監修中 法律部分:司法書士・行政書士 確認中 公開 2026-10-02/更新 2026-10-02

よくある場面 状態が変わったので主治医に伝えたい。でも診療所に電話しても「今、診察中です」。やっとつながったら、要領を得ない話で叱られた。それ以来、電話の前で手が止まる。退院前カンファレンスでは、事前に出した質問以外は答えてもらえない。

診察室の前で、忙しそうな医師に声をかけるのをケアマネがためらっている

1まず結論

主治医との連携はあなたの法定業務の一部です。ただし「医師に直接会って話す」ことだけが連携ではありません。あなたの役割は「必要な情報を、届く形にして、届く経路に乗せる」ところまで。先生の機嫌や忙しさは、あなたの責任ではありません。

2あなたがすること

  • 用件を1枚にまとめる(①誰が ②何が ③いつから ④聞きたいことは1つか2つ)。電話は「3分で終わる形」にする
  • 届く経路を選ぶ:地域のケアマネタイム(医師会などが決めた、ケアマネが連絡してよい時間帯)/医師会・市町村の連携様式(照会票・連絡票・FAX様式)/診療所の看護師・事務経由/病院なら地域連携室(MSW・退院支援看護師)経由/訪問診療なら診療所の連携担当
  • 受診に同席して直接聞く(通院時情報連携加算の要件を確認)
  • 訪問看護・薬剤師が入っていれば、医療の共通言語を持つ職種から伝えてもらう
  • 本人・家族に「何を主治医に伝えるか」の同意を先にとる
  • 返事が来たら記録してプランに反映する。返事が来ないときは「○日までに返答がなければ現状のまま進める」旨を文書に書いておく

3あなたが抱えなくていいこと

  • 医師の機嫌や忙しさを自分の責任にすること(怒られた=あなたが悪い、ではない。忙しい時間に当たっただけのことが多い)
  • 一人で突破すること(看護師・MSW・薬剤師・訪問看護を経由してよい。それは「逃げ」ではなく連携)
  • 医学的な判断(診断・薬の要否)を自分で決めること
  • 本人に代わって医師の説明を「理解する役」になること

※「怖いから連絡しない」は本人の不利益になります。経路を変えてでも情報は届け、支援を途切れさせません。

4次に確認すること

  1. 地域にケアマネタイム・連携様式(医師会/市町村の在宅医療・介護連携推進事業の窓口)があるか
  2. 診療所・病院の「ケアマネからの連絡の窓口」(看護師・事務・地域連携室)と、その人の名前
  3. 本人・家族の同意(主治医に何を伝えてよいか)

5誰につなぐか

順先何を
1診療所の看護師・事務/病院の地域連携室(MSW・退院支援看護師)医師への取り次ぎ。用件の事前共有
2訪問看護・薬剤師(居宅療養管理指導)医学的な情報を医師に伝える経路。指示書・報告書の流れに乗せる
3市町村の在宅医療・介護連携推進事業の窓口/地区医師会ケアマネタイム、連携様式、医療機関の連絡先一覧
4事業所の主任ケアマネ・管理者同行、文書の添削、事業所として出す
5地域包括支援センター(主任ケアマネ)一人ケアマネの相談先。地域ケア会議で医療との顔合わせ
6都道府県のケアマネ相談窓口(例:埼玉県「はろーケアマネ相談窓口」など。名称・有無は地域ごと)事業所内で相談できないとき

相談先の名前は地域で違います。「お住まいの市区町村名+窓口名」で検索してください。

6相手への伝え方

主治医へ(FAX・連絡票の文例):

「○○クリニック ○○先生 いつもお世話になります。○○さん(○歳・要介護○)の担当ケアマネジャー○○です。ご本人の同意のうえご連絡します。①○月頃から食事量が減り、体重が2か月で○kg減っています。②夜間の咳が続き、ヘルパーからも報告があります。③お聞きしたいことは1点、通所を週2回から3回に増やしてよいか、注意点があればお教えください。返信はこの用紙のFAX(○○)で、○日までにいただければ助かります。お忙しいところ恐れ入ります。」

主治医へ(電話の第一声):

「ケアマネの○○です。○○さんの件で、先生に1点だけ、3分ほどお時間をいただけますか。今が難しければ、先生のご都合のよい時間か、看護師さん経由でも構いません。」

本人・家族へ:

「先生にお伝えしたいことがあるので、内容を一緒に確認させてください。私からは、食事の量と夜の咳のことをお伝えします。次の受診のときに先生へ直接聞いていただけるよう、質問を紙に書いて持っていきましょう。私も同席できる日があれば同席します。」

7記録の残し方

○月○日、訪問介護○○より「夜間の咳と食事量の低下」の報告あり。本人に確認し、主治医への情報提供に同意を得る。同日、○○クリニックへ電話するも診察中で取り次ぎ不可。看護師○○氏に用件を伝え、連携様式(FAX)で送付(○時)、返答期限○日と記載。○日、看護師経由で「通所増は可、水分摂取を促すこと」との回答(FAX受信、保管)。ケアプランに反映し、通所○○・訪問介護○○へ共有。次回受診(○日)は長女が同席、質問メモを渡す。管理者に報告済み。

この記録の文例は、ほかの34場面と並べて記録文例集にもまとめています →

あなたのケースは?

5つの質問に答えると、この記事の線引きが「あなたの答え」に合わせて整理され、相談メモになります。

あなたのケースを3分で整理する →
  • 今、主治医に何が要りますか
  • 主治医の立場は
  • これまでの接点は
  • つらいのはどれに近いですか
  • 事業所に主任ケアマネや相談できる先輩は

8根拠

  • 居宅介護支援の運営基準で、利用者の状態の変化や服薬状況などを主治医等に情報提供すること、医療サービスをケアプランに位置づけるときに主治医等の意見を求めることが求められている(第13条第13号の2・第19号)
  • 通院時情報連携加算:利用者の受診に同席して医師と情報をやり取りし、ケアプランに反映した場合に算定できる(令和6年度改定で歯科医師の診察への同席も対象に)
  • 入院時情報連携加算・退院・退所加算など、医療機関との情報連携を評価する加算がある
  • 市町村の在宅医療・介護連携推進事業(介護保険法の地域支援事業)で、ケアマネタイム・連携様式・相談窓口が整備されている地域がある(名称・有無は地域ごと)
  • 調査では、ケアマネが「最も連携が取りにくい相手」は医師が圧倒的多数で、理由は「アポを取りたくても取れない」「近寄りがたい」「怖い」(エス・エム・エス/CBnews 2017年、ケアマネ538名。参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000111.000013298.html )
  • 参考:あるある収集 #122(医師と連携が取りにくい)/#124(退院前カンファレンスで事前の質問以外に答えてもらえない)/#132(訪問看護や医療機関が担う対応までケアマネに来る) https://mane-c.com/414/

一次資料(リンク先を実際に開いて確認済み)

本文の「要確認」は、上の資料で確認し次第、表記を確定します。

関連するケース

更新履歴:2026-10-02 公開(試作v1・監修中)