となりのケアマネさん

これ、私がやるの? ケース30

お茶・お菓子・贈り物を断れない。角を立てない断り方と線引き

執筆:石田竜生(作業療法士・介護支援専門員資格(株式会社おふとん)) 実務の監修:主任介護支援専門員(大阪府・経験11年) 監修中 法律部分:司法書士・行政書士 確認中 公開 2026-10-02/更新 2026-10-02

よくある場面 訪問のたびに「まあ座って」とお茶とお菓子。断ると「私のお茶が飲めないの」と機嫌を損ねる。お茶→お菓子→昼食→夕食と増えて、帰りたくても帰れない。お中元、旅行のお土産、亡くなった後の菓子折り、封筒に入った「お礼」。

お茶とお菓子をすすめるおばあさんに、ケアマネが恐縮して手を振っている

1まず結論

お茶一杯は「関係」、金品は「事業所の規程」。線は「その場で消えるもの」と「持ち帰るもの・換金できるもの」の間にあります。あなたの役割は、線を先に相手へ伝えて、断っても関係が続く言い方を持つところまで。相手の機嫌を、あなたの責任にしません。

2あなたがすること

  • 自事業所の規程(利用者からの金品の授受・飲食の扱い・報告の手順)を確認し、「私の事業所では」と言える形にしておく
  • 自分の線を決めて先に伝える(例:お茶一杯はいただく/お菓子はその場で一つ/持ち帰りは受け取らない/金券・現金は必ず返す)。初回訪問や契約のときに伝えるのがいちばん楽
  • 「時間で切る」:訪問の冒頭で「今日は○時までです」と言う
  • 受け取ってしまった(返せなかった)ときは、その日のうちに管理者に報告し、事業所の手順で返す・処理する
  • 増えている(食事・友達感覚)なら、背景(孤独・話し相手がいない)をアセスメントし、通所・サロン・傾聴などにつなぐ
  • 記録に残す(何を、誰から、どう対応したか)

3あなたが抱えなくていいこと

  • 相手の機嫌や寂しさを、あなたが埋めること
  • 全部を一人で断る役(「事業所の決まり」を使ってよい。管理者から伝える形もある)
  • 「断ったら関係が壊れる」という不安を抱えたまま、受け取り続けること
  • 亡くなった後の家族のお礼を「受け取らないと失礼」と背負うこと

※「断る」=「冷たくする」ではありません。断ったあとに「また来ます」を必ず添えて、支援を途切れさせません。

4次に確認すること

  1. 自事業所の規程(金品の授受・飲食・報告の手順)はどう書いてあるか
  2. 相手が出してくる背景(習慣・礼儀/寂しさ/お礼をしないと不安)
  3. すでに受け取ってしまったものがあるか(あれば報告と返却の要否)

5誰につなぐか

順先何を
1事業所の管理者規程の確認、受け取ってしまったときの処理、事業所として伝える
2訪問介護・通所の事業所同じ利用者に対する線をそろえる(ヘルパーだけ受け取る、が起きないように)
3地域包括支援センター・通所・地域のサロン・傾聴ボランティア寂しさが背景のときの居場所・話し相手
4家族亡くなった後のお礼の辞退、金券の返却

相談先の名前は地域で違います。「お住まいの市区町村名+窓口名」で検索してください。

6相手への伝え方

本人へ(お茶):

「ありがとうございます、一杯だけいただきますね。今日は○時までいられるので、その間にお話を聞かせてください。」

本人へ(持ち帰りの品・金券):

「お気持ち、本当にうれしいです。ただ、私の事業所では利用者さんから品物やお金をいただかない決まりになっていて、私だけ受け取ると他の職員に示しがつかないんです。お気持ちだけ、ちゃんといただきました。また来週、来ますね。」

本人へ(「飲めないのか」と怒られたとき):

「飲みたくないんじゃなくて、時間が短いだけなんです。○○さんのお茶はおいしいので、一杯だけいただいて、続きは次回に。」

家族へ(亡くなった後のお礼・金券):

「お心遣いをありがとうございます。○○さんのことを思い出して、こちらこそ感謝しています。ただ、事業所の決まりで品物やお金は受け取れないことになっていて、お気持ちだけ頂戴します。もしよろしければ、その分をお母様の好きだったことに使っていただけたら。」

7記録の残し方

○月○日、訪問時に本人より商品券(○円分)を「いつものお礼」として渡される。事業所の規程により金品は受け取れない旨を説明し、本人「気持ちだから」と一度は固辞されたが、最終的に受け取らないことで了承。お茶は一杯いただき、訪問は○時に終了。本人は「話し相手が少ない」と話しており、○○サロン(週1)の情報を次回持参予定。訪問介護○○にも金品の線を共有(○日)。管理者に同日報告済み。
(受け取ってしまった場合の書き方)○月○日、帰り際に菓子折りを渡され、その場で返せず持ち帰る。同日管理者に報告し、○日に管理者同席で返却、本人了承。

この記録の文例は、ほかの34場面と並べて記録文例集にもまとめています →

あなたのケースは?

4つの質問に答えると、この記事の線引きが「あなたの答え」に合わせて整理され、相談メモになります。

あなたのケースを3分で整理する →
  • 出されたものはどれに近いですか
  • 頻度と流れは
  • 断ると相手は
  • 事業所の決まりは

8根拠

  • 居宅介護支援の運営基準では、事業者や従業者が居宅サービス事業者等から金品その他の財産上の利益を収受してはならない旨が定められている。利用者からの金品については直接の規定でなく、多くの事業所が運営規程・就業規則で定めている(運営基準 第25条第3項。事業所の規程は自事業所で確認)
  • 運営基準の基本方針として、公正中立なケアマネジメントが求められている(第1条の2第3項)
  • 日本介護支援専門員協会「介護支援専門員 倫理綱領」(平成19年3月25日採択。4「公正・中立な立場の堅持」、5「社会的信頼の確立」)
  • 厚労省「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会 中間整理」(令和6年12月)には飲食・金品の記載はなく、線引きは事業所の規程による
  • お茶一杯を受けることを禁じる国のルールはない。人間関係の範囲で、事業所の方針に沿って各自が決める
  • 参考:あるある収集 #172(お茶・お菓子を断れない。断ると怒られる) https://kawamane.com/otyagasimondai/ / #173(お茶→菓子→食事とエスカレート。贈り物・金券を断る負担) https://note.com/makoyoroshiku/n/nc084617eb1f4 / https://care.kaigor.com/column/caremane_orei/

一次資料(リンク先を実際に開いて確認済み)

本文の「要確認」は、上の資料で確認し次第、表記を確定します。

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更新履歴:2026-10-02 公開(試作v1・監修中)