
これ、私がやるの? ケース35
「介護度を上げて」と言われた。区分変更の前に説明することと調査の支え方
執筆:石田竜生(作業療法士・介護支援専門員資格(株式会社おふとん))
実務の監修:主任介護支援専門員(大阪府・経験11年) 監修中
法律部分:司法書士・行政書士 確認中
公開 2026-10-02/更新 2026-10-02
よくある場面 「もっとデイに行かせたいから、介護度を上げてもらえない?」「調査の時は悪く言っておくから」。家族が自分で区分変更を申請していた、ということも。結果が変わらなかったら「ケアマネさんの書き方が悪い」と言われそうで気が重い。

1まず結論
介護度は、認定調査と主治医意見書をもとに介護認定審査会が判定し、市町村が決めます。ケアマネが上げることはできません。あなたの役割は、状態の変化を確かめて区分変更の申請が合っているかを一緒に整理し、介護度が上がったとき・変わらないとき・下がったときの影響を説明し、申請するなら本人のふだんの状態がありのまま伝わるよう支えるところまでです。
2あなたがすること
- 再アセスメントで状態の変化を確かめる(いつから、何ができなくなったか、介護の手間がどう増えたか)
- 主治医に状態の変化を伝える(主治医意見書に反映されるように、情報を提供する)
- 「サービスを増やしたい」が理由なら、先に今の介護度の中で組み替えられないか(限度額の使い方)を一緒に見る
- 介護度が変わったときの影響を説明する:限度額は増えるが、通所介護やショートステイなど介護度によって単位が変わるサービスは、1回あたりの自己負担も増える/結果は変わらないことも、下がることもある/結果が出るまでの間は暫定のケアプランで動く
- 申請する場合:本人・家族の依頼があれば申請の代行ができる。認定調査の日程の調整や立ち会いをする
- 認定調査では、ふだんの状態を具体的に伝える(できない日があること、介助にかかる手間)。事実と違う状態を伝えるよう頼まれても、ケアマネは事実を伝える
- 結果が出たら、サービス担当者会議を開いてケアプランを見直す
3あなたが抱えなくていいこと
- 「介護度を上げます」と約束すること
- 結果の責任(判定するのは介護認定審査会)
- 事実と違う状態を、調査員や主治医に伝えること
- 限度額を超えて使うかどうかの決断(説明はあなたの役割。決めるのは本人と家族)
※「上げられない」=「何もしない」ではありません。状態に合った申請と、今の介護度でできる組み替えを一緒に考え、支援は途切れさせません。
4次に確認すること
- 状態の変化(具体的に、いつから、何が)
- 今の限度額の使い方(どのサービスに、どれだけ使っているか)
- 家族が本当に望んでいること(サービスの量・施設に入ること・お金のこと・介護の負担)
5誰につなぐか
| 順 | 先 | 何を |
|---|---|---|
| 1 | 主治医 | 状態の変化の共有。主治医意見書への反映 |
| 2 | 市町村の介護保険担当 | 区分変更の申請、認定調査の日程、結果が出るまでの見込み |
| 3 | サービス事業所 | 状態の変化の情報(通所・訪問介護で見えている様子) |
| 4 | 地域包括支援センター | 要支援と要介護をまたぐ場合の担当の切り替え |
| 5 | 都道府県の介護保険審査会 | 認定の結果に納得できない場合の審査請求(期限がある。結果の通知に記載) |
相談先の名前は地域で違います。「お住まいの市区町村名+窓口名」で検索してください。
6相手への伝え方
家族へ(理由が「サービスを増やしたい」のとき):
「デイを増やしたいお気持ち、分かりました。介護度は、調査と主治医の意見書をもとに審査会が決めるので、私が上げることはできないんです。それに、介護度が上がると、デイ1回あたりの料金も上がります。まず今の介護度の中で、デイを増やせる組み方がないか一緒に見てみませんか。お母様の状態が前より変わっているなら、区分変更の申請も考えましょう。」
家族へ(「調査の時は重く言う」と言われたとき):
「ふだん困っていることは、遠慮せず具体的に伝えてください。できない日があることや、介助にどれだけ時間がかかるかは、とても大事な情報です。ただ、実際と違うことを伝えると、かえって合わないプランになってしまいます。調査の日は私も立ち会って、ふだんの様子をお伝えします。」
本人へ:
「最近、立ち上がるのが大変そうだと娘さんから聞きました。どんなときに困るか、教えてもらえますか。○○さんに合ったお手伝いの量を、もう一度考えたいんです。」
7記録の残し方
○月○日、長女より「デイを週3回から5回に増やしたい、介護度を上げてほしい」と相談あり。介護度は認定調査・主治医意見書をもとに審査会が判定することを説明。介護度が変わった場合の限度額と自己負担の変化(通所介護の1回あたりの単位が上がること)、結果が変わらない・下がる場合もあることを説明し、長女了承。再アセスメントにて、○月の転倒以降、立ち上がりに一部介助が必要になったこと、夜間のトイレ介助が週○回あることを確認。今の限度額の中で通所を週4回に組み替える案を提示し、長女・本人と検討中。区分変更の申請は主治医に状態を伝えたうえで○日に判断予定。管理者に報告済み。
この記録の文例は、ほかの34場面と並べて記録文例集にもまとめています →
あなたのケースは?
5つの質問に答えると、この記事の線引きが「あなたの答え」に合わせて整理され、相談メモになります。
あなたのケースを3分で整理する →- 家族が介護度を上げたい理由は
- ここ数か月の本人の状態は
- 申請は
- 家族は、介護度が変わったときの影響(自己負担など)を
- 家族は「調査の時に重く言う」と言っていますか
8根拠
- 要介護認定は、認定調査と主治医意見書をもとに介護認定審査会が審査・判定し、市町村が認定する。認定の有効期間の途中でも、状態が変わったときは区分変更の申請ができる(介護保険法第27条・第29条)
- 指定居宅介護支援事業者は、本人の依頼を受けて認定の申請を代わって行うことができる(介護保険法第27条第1項)
- 通所介護・短期入所生活介護などは、要介護度ごとに単位が決まっている(介護報酬の告示)。介護度が上がると限度額は増えるが、1回あたりの自己負担も増える
- 特別養護老人ホームへの入所は、原則として要介護3以上(平成27年4月から。やむを得ない事情がある場合の特例入所あり)
- 認定の結果に不服があるときは、都道府県の介護保険審査会に審査請求ができる(期限は結果の通知に記載)
- 偽りその他不正の行為によって保険給付を受けた場合、市町村がその分を返すよう求めることができる(介護保険法第22条第1項の不正利得の徴収)。調査ではふだんの状態をありのまま、具体的に伝えることが大切
- 区分変更の進め方(再アセスメント→サービス担当者会議→暫定ケアプラン→申請→結果→担当者会議で見直し)は、ケアマネの経験者の間で共有されている流れ(参考:https://i.care-mane.com/news/entry/qa_25134 )
- 参考:あるある収集 #75(介護度を上げてほしいと要求される) https://www.carejinzaibank.com/column/caremanager/care_quit/ / #152(包括から未面接のまま区分変更の申請だけして引き継がれる) https://note.com/kaizo777/n/nef105cf7b6d4
一次資料(リンク先を実際に開いて確認済み)
- 令和7年度 運営の手引き 居宅介護支援横浜市・令和7年度
- 中間整理(本文)※別添「居宅介護支援事業所におけるケアマネジャーの業務について」厚生労働省 ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会・令和6年12月
本文の「要確認」は、上の資料で確認し次第、表記を確定します。
関連するケース
更新履歴:2026-10-02 公開(試作v1・監修中)
