となりのケアマネさん

これ、私がやるの? ケース6

身寄りがない利用者。ケアマネがまず何をするか、誰と組むか

執筆:石田竜生(作業療法士・介護支援専門員資格(株式会社おふとん)) 実務の監修:主任介護支援専門員(大阪府・経験11年) 監修中 法律部分:司法書士・行政書士 確認中 公開 2026-10-02/更新 2026-10-02

よくある場面 独居。家族はいない、または疎遠で連絡がつかない。今は何とか暮らしているが、入院・施設・お金・亡くなった後のことが、ぜんぶ自分に来る気がして重い。

窓辺に一人で座るおじいさんに、ケアマネがしゃがんで目線を合わせて話を聞いている

1まず結論

身寄りがない利用者の「これから全部」をケアマネが背負うことはできません。ただし、今のうちに「何が起きたら誰が動くか」を本人と決めておけるのは、いちばん近くにいるあなただからできることです。あなたの役割は、支えの地図(連絡先・お金・医療・住まい・亡くなった後)を本人と一緒に作り、それぞれの担い手につなぐところまでです。

2あなたがすること

  • 本人と「この先の心配」を分けて聞く(入院したら/お金/体調/住まい/亡くなった後)
  • 緊急連絡先を決める(事業所で受けられる範囲は管理者に確認)
  • 本人の意向を聞き取り、残す(医療・住まい・最期の場所・誰に知らせてほしいか)。ACP(人生会議)の考え方で、一度に全部でなくてよい
  • 親族の有無は本人の話から。戸籍での調査が要るなら市町村へ
  • お金の管理の支援につなぐ(社協の日常生活自立支援事業/後見等)
  • 包括に「身寄りがない方」として情報を共有し、担当者会議に入ってもらう
  • 半年ごと、状態が変わったときに見直す

3あなたが抱えなくていいこと

  • 身元保証人・緊急時の引き取り・支払いの肩代わり
  • 財産・通帳の管理
  • 亡くなった後の手続き(葬儀・遺品・行政手続き)
  • 「全部の相談窓口」であり続けること

※「背負わない」=「見放す」ではありません。担い手が決まるまでも、決まってからも、連絡調整役としての支援は途切れさせません。

4次に確認すること

  1. 本人の判断力と、自分で契約できるか(社協の事業は本人契約。難しければ後見等)
  2. お金の見通し(年金額・預貯金・生活保護の可否)と、亡くなった後の費用があるか
  3. 本人の意向(医療・最期の場所・知らせてほしい人)がどこかに残っているか

5誰につなぐか

順先何を
1地域包括支援センター身寄りがない人の支援の中心。権利擁護、後見の入口、地域ケア会議
2市町村(高齢福祉・生活保護・戸籍)親族調査、生活保護、市長申立て、葬祭扶助
3社会福祉協議会(日常生活自立支援事業)お金の管理の支援(本人契約)
4主治医・訪問看護医療の意向(ACP)の共有、急変時の対応
5権利擁護センター・弁護士会・司法書士会後見等の申立て、任意後見・死後事務委任・遺言
6民間の終身サポート事業者本人が費用を負担できる場合。内閣府のガイドラインに沿った事業者かを確認

相談先の名前は地域で違います。「お住まいの市区町村名+窓口名」で検索してください。

6相手への伝え方

本人へ:

「○○さんの心配をぜんぶ私が引き受けます、とは言えないんです。でも、何かあったときに誰が動くかを、今のうちに一緒に決めておくことはできます。入院のとき、お金のこと、体のこと、一つずつでいいので、話せるときに教えてください。」

相手(包括・病院)へ:

「○○さんは身寄りがなく、緊急連絡先は当事業所です。ただ、保証人や支払いの肩代わりはできません。今のうちにお金の管理と医療の意向を整えたいので、包括で一緒に見てもらえませんか。地域ケア会議に上げることも考えています。」

7記録の残し方

○月○日、本人より「自分には身寄りがないので、この先が心配。全部あなたに頼みたい」と話あり。ケアマネが保証人・財産管理・死後の手続きを担うことはできない旨を説明し、了承を得る。代わりに「何が起きたら誰が動くか」を一緒に決めることを提案、本人「それなら安心」と同意。緊急連絡先は当事業所(管理者確認済み)。お金の管理は社協の日常生活自立支援事業を説明し、○日に社協へ連絡予定。医療の意向は次回受診時(○日)に主治医と確認。包括○○に身寄りがない方として情報共有済み。管理者に報告済み。

この記録の文例は、ほかの34場面と並べて記録文例集にもまとめています →

あなたのケースは?

5つの質問に答えると、この記事の線引きが「あなたの答え」に合わせて整理され、相談メモになります。

あなたのケースを3分で整理する →
  • 今、困っていることはどれに近いですか
  • 本人の判断力は
  • 親族は
  • お金の状況は
  • 本人は、この先のことを話せる状態ですか

8根拠

  • 居宅介護支援の業務はケアプランと連絡調整で、保証・財産管理・死後事務は含まれない
  • 厚労省「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」(令和元年6月。医政総発0603第1号で発出)
  • 厚労省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(ACPの根拠。平成19年5月策定、平成30年3月改訂)
  • 内閣官房・内閣府・金融庁・消費者庁・総務省・法務省・厚生労働省・経済産業省・国土交通省「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」(令和6年6月)
  • 身寄りがない高齢者への市町村・包括の支援事業(地域によって名称・有無が異なる。要確認)
  • 日常生活自立支援事業(社協)と成年後見制度(市長申立てを含む)

一次資料(リンク先を実際に開いて確認済み)

本文の「要確認」は、上の資料で確認し次第、表記を確定します。

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更新履歴:2026-10-02 公開(試作v1・監修中)