となりのケアマネさん

これ、私がやるの? ケース7

家族と連絡がつかない。キーパーソン不在で支援を止めない進め方

執筆:石田竜生(作業療法士・介護支援専門員資格(株式会社おふとん)) 実務の監修:主任介護支援専門員(大阪府・経験11年) 監修中 法律部分:司法書士・行政書士 確認中 公開 2026-10-02/更新 2026-10-02

よくある場面 緊急連絡先の長男に電話しても出ない。手紙を送っても返事がない。入院やサービス変更の同意が取れない。「家族がいるのに、いないのと同じ」。

ケアマネが受話器を耳に当て、手帳を持って家族からの折り返しを待っている

1まず結論

家族と連絡がつかないことで、本人の支援を止める必要はありません。契約や同意の主体は本人です。家族を「探し続ける」のはあなたの役割ではなく、「連絡を試みた事実を残し、家族抜きでも支援が回る形にする」ところまでが役割です。

2あなたがすること

  • 連絡を試みた記録を残す(日時・手段・結果)。電話だけでなく、返信期限を書いた文書も送る
  • 本人が決められることは本人と決める(サービス変更・契約は本人が契約者)
  • 本人に「家族と連絡がつかないこと」をどう思うか聞く(連絡を望むか、望まないか)
  • 他の親族・知人の手がかりを本人から聞く
  • 緊急時の連絡先を家族以外にも持つ(事業所・包括・主治医)
  • 包括・サービス事業所と「家族不在」を前提にした支援の形を共有する

3あなたが抱えなくていいこと

  • 家族を探し出すこと(住所調査・戸籍調査)
  • 家族の代わりに同意・署名すること
  • 家族が来ないことへの本人の不満・寂しさを、あなたが埋めること
  • 支払いの立て替え

※「家族がつかまらない」=「何も決められない」ではありません。本人が決められることは本人と進め、支援を途切れさせません。

4次に確認すること

  1. 本人が自分で決められる状態か(判断力・契約の理解)
  2. 連絡を試みた記録がそろっているか(日時・手段・結果。相談先で必ず聞かれる)
  3. 家族が担っていた役割(支払い・緊急連絡先・通院同行など)のうち、今すぐ代わりが要るものはどれか

5誰につなぐか

順先何を
1地域包括支援センター家族不在の支援の相談、権利擁護、必要なら市町村へ
2市町村(高齢福祉担当)親族調査(戸籍)、緊急時の対応、市長申立て
3サービス事業所・施設家族欄・緊急連絡先の見直し、本人契約での継続
4社会福祉協議会(日常生活自立支援事業)家族が担っていた支払いの代替(本人契約)
5主治医・訪問看護急変時に家族と連絡がつかない前提での対応の共有
6民生委員・自治会家族の手がかり、見守り(本人が望む場合)

相談先の名前は地域で違います。「お住まいの市区町村名+窓口名」で検索してください。

6相手への伝え方

本人へ:

「息子さんに何度かご連絡しているのですが、まだお返事がなくて。息子さんがつかまらなくても、○○さんのサービスは止まりません。○○さんご自身で決めていただけることは、一緒に決めていきましょう。他にご連絡できるご親戚や、昔からのお知り合いはいらっしゃいますか。」

家族へ(つながったとき・留守電・文書):

「○○さんのケアマネの○○です。お母様の状態と、サービスの変更についてお伝えしたいことがあります。すべてを担っていただく必要はありません。緊急時の連絡先だけでも、お願いできる範囲を教えていただけませんか。○日までにご連絡がない場合は、ご本人と相談して進めさせていただきます。」

7記録の残し方

○月○日、サービス変更(通所介護 週2→3回)について長男に電話(○日・○日・○日、いずれも不通、留守電にメッセージ)。○日に文書送付(返信期限○日)、返信なし。本人に説明したところ「自分で決めたい、息子には気にしないでいい」とのことで、本人の同意でサービス変更を実施。本人は変更内容を理解している(本人の言葉「週3回に増やす、費用が○円増える」)。長男以外の連絡先として姪(○○市)の名前を本人より聞き取り、次回確認予定。緊急連絡先に当事業所を追加(管理者確認済み)。包括○○に共有。管理者に報告済み。

この記録の文例は、ほかの34場面と並べて記録文例集にもまとめています →

あなたのケースは?

4つの質問に答えると、この記事の線引きが「あなたの答え」に合わせて整理され、相談メモになります。

あなたのケースを3分で整理する →
  • 今、連絡が要る理由はどれに近いですか
  • 連絡がつかない期間は
  • 他に連絡がとれる親族・知人はいますか
  • 本人は、家族に連絡をとることを望んでいますか

8根拠

  • 介護サービスの契約者・同意の主体は本人。本人に判断力がある場合、家族の同意は法律上の要件ではない(要確認)
  • 居宅介護支援の業務に親族調査は含まれない。戸籍による調査は市町村が行える場合がある(要確認)
  • 本人の判断が難しい場合は成年後見制度(市長申立てを含む)
  • 家族への情報提供は、介護の提供に必要な範囲であれば利用目的に含まれると考えられているが、あらかじめ本人に伝える相手を確認し、同意を得ておくことが望ましいとされる(個人情報保護委員会・厚労省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」)。事業所の規程も確認
  • 家族が関わらないことだけで虐待(放棄・放置)と判断されるわけではない。高齢者を現に養護している家族(同居かどうかは問われない)が世話を著しく怠り、生命・健康に影響がある場合は、高齢者虐待防止法の放棄・放置(第2条第4項第1号ロ)に当たり得る

一次資料(リンク先を実際に開いて確認済み)

本文の「要確認」は、上の資料で確認し次第、表記を確定します。

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更新履歴:2026-10-02 公開(試作v1・監修中)