となりのケアマネさん

これ、私がやるの? ケース17

薬の受け取り・セットを頼まれた。ケアマネと介護職・薬局の線引き

執筆:石田竜生(作業療法士・介護支援専門員資格(株式会社おふとん)) 実務の監修:主任介護支援専門員(大阪府・経験11年) 監修中 法律部分:司法書士・行政書士 確認中 公開 2026-10-02/更新 2026-10-02

よくある場面 訪問時に「薬局まで行けないから取ってきて」「飲み忘れるから、あなたがカレンダーに入れて」。机の上に飲み残しの薬袋が山積み。家族は「ケアマネさんが見てくれてるんですよね」。

薬の袋とお薬カレンダーを前に、おばあさんがセットを頼んでいる

1まず結論

薬の受け取り・セット・預かりは、ケアマネが担う仕事ではなく、薬剤師・看護師・訪問介護(範囲あり)の役割です。ただし「飲み残しが多い」は体と生活に直結するサインで、それを主治医・薬剤師に伝えて、飲める仕組みを作るのはあなたの仕事です。

2あなたがすること

  • 飲めていない状況を聞き取り・観察する(飲み残しの量、薬の種類の多さ、理解の程度、視力・手指の状態)
  • 主治医・薬剤師に「飲めていない」ことを伝える(減薬・一包化・服薬回数の見直しの相談)
  • 薬剤師の在宅訪問(居宅療養管理指導)の導入を主治医・薬局と調整する
  • 訪問看護・訪問介護の服薬支援をケアプランに位置づける(誰がセットし、誰が声をかけるか)
  • 家族に、薬の受け取りをどう続けるか確認する(薬局の配達への切り替えを含む)

3あなたが抱えなくていいこと

  • 薬局に行って薬を受け取ってくること
  • お薬カレンダー・ケースへのセット(薬剤師・看護師の役割。訪問介護は条件つき)
  • 薬を預かること、自分の判断で量や回数を変えること
  • 訪問のたびに飲んだかどうかを確認する係になること

※「私はセットしない」=「飲めないまま放っておく」ではありません。誰がセットして誰が声をかけるかが決まるまでを支えます。

4次に確認すること

  1. かかりつけ薬局が薬剤師の在宅訪問に対応しているか、主治医が指示を出せるか
  2. 一包化や服薬回数の削減ができるか(主治医・薬剤師)
  3. 訪問看護・訪問介護に、どこまでを服薬支援として頼めるか(事業所ごとの取り決めを確認)

5誰につなぐか

順先何を
1主治医減薬・一包化・服薬回数の見直し。薬剤師訪問の指示
2かかりつけ薬局(薬剤師の在宅訪問)薬の配達・お薬カレンダーへのセット・残薬の整理・重複のチェック
3訪問看護服薬状況の確認、セット、体調との関係の観察
4訪問介護服薬の声かけ・確認、一包化された薬の内服の手伝い(範囲は事業所と要確認)
5家族薬の受け取りの主担当(別居なら薬局の配達で代替)
6地域包括支援センター要支援で服薬支援を組みにくい場合、認知機能の低下で管理が難しい場合の相談

相談先の名前は地域で違います。「お住まいの市区町村名+窓口名」で検索してください。

6相手への伝え方

本人へ:

「お薬の受け取りとセットは、私が代わりにやることができないんです。でも、飲み残しが多いのは体に関わることなので、放ってはおけません。薬剤師さんに家まで来てもらって、カレンダーに入れてもらう方法があります。先生とも相談して、飲む回数を減らせないか聞いてみますね。」

家族へ:

「お薬の管理はケアマネの仕事の範囲ではなくて、私が確認係になると、私が来ない日に飲めていない状態が続いてしまいます。薬剤師さんの訪問で配達とカレンダーへのセットをしてもらい、ヘルパーさんの訪問日に声かけを入れる形にしたいです。薬の受け取りをご家族にお願いできるか、難しければ薬局の配達に切り替えたいので、確認させてください。」

7記録の残し方

○月○日、訪問時に本人より「薬局に取りに行けないので受け取ってきてほしい。カレンダーにも入れてほしい」と依頼。机上に飲み残しの薬袋が多数(朝分が約2週間分)。ケアマネによる薬の受け取り・セットはできない旨を説明し、了承を得る。飲み残しについて主治医○○医師に○日に報告予定。かかりつけ薬局○○に薬剤師訪問の可否を確認(○日回答予定)。訪問介護○○に服薬の声かけを相談。長女へ電話し、薬の受け取りは薬局の配達へ切り替える方向で了承を得る。管理者に報告済み。

この記録の文例は、ほかの34場面と並べて記録文例集にもまとめています →

あなたのケースは?

5つの質問に答えると、この記事の線引きが「あなたの答え」に合わせて整理され、相談メモになります。

あなたのケースを3分で整理する →
  • 頼まれた中身はどれに近いですか
  • 飲めていない様子はありますか
  • 訪問介護・訪問看護は入っていますか
  • 薬局はどこですか
  • 家族は

8根拠

  • 薬の受け取り・セット・管理は居宅介護支援の業務に含まれない(介護保険法上の居宅介護支援の範囲。事業所の運営規程も確認)
  • 薬剤師の在宅訪問(居宅療養管理指導)は医師の指示にもとづき、薬の配達・服薬カレンダーへのセット・残薬の管理ができる(算定要件は要確認)
  • 訪問介護員ができる服薬の支援は、一包化された薬の内服の介助・声かけなど範囲が示されている(厚労省医政局長通知「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について」平成17年7月26日 医政発第0726005号)
  • 服薬状況など利用者の状態の変化を主治医に伝えることは居宅介護支援の運営基準で求められている(第13条第13号の2。利用者の同意を得て主治の医師等又は薬剤師に提供)

一次資料(リンク先を実際に開いて確認済み)

本文の「要確認」は、上の資料で確認し次第、表記を確定します。

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更新履歴:2026-10-02 公開(試作v1・監修中)