となりのケアマネさん

これ、私がやるの? ケース32

「施設、探しといて」と言われた。ケアマネはどこまで施設探しをするのか

執筆:石田竜生(作業療法士・介護支援専門員資格(株式会社おふとん)) 実務の監修:主任介護支援専門員(大阪府・経験11年) 監修中 法律部分:司法書士・行政書士 確認中 公開 2026-10-02/更新 2026-10-02

よくある場面 家族から「そろそろ施設かな。ケアマネさん、いいところ探しといて。見学も一緒に来てくれる?」。パンフレットを集め、空きの電話をかけ、見学に同行し、申込書の書き方まで聞かれる。気づくと施設探しを全部やっていて、決まらないと「ケアマネさんが探してくれない」と言われる。

家族からパンフレットの束を手渡され、ケアマネが抱えてよろけそうになっている

1まず結論

施設を選んで決めるのは、本人と家族です。あなたの役割は、本人の意向・心身の状態・費用の見当を整理し、「どんな種類の施設が合いそうか」と調べ方・相談先を示し、選ばれた施設に本人の情報をつなぐところまで。空きの電話・見学の同行・申込みまで、全部を引き受けなくていいです。

2あなたがすること

  • 本人の意向を確かめる(なぜ施設の話が出ているか、本人はどう思っているか)。本人のいないところで決めない(→ケース22へ)
  • 施設の種類の違い(特養・老健・グループホーム・介護付き有料・住宅型有料・サ高住)を、入れる条件・費用の目安・医療や介護の手厚さで比べられる一覧にして渡す
  • 費用の見当を家族と確認する(月いくらまでなら払えるか)。介護保険の施設の食費・居住費が軽くなる制度(負担限度額認定)の対象になりうるかは、市町村に確認するよう伝える
  • 調べ方を伝える(市町村の施設一覧、介護サービス情報公表システム、特養の申込み方法は自治体ごとに違うので市町村で確認)
  • 本人・家族の同意を得て、候補の施設に本人の情報(心身の状態・必要な介護・医療)を提供する
  • 見学や面談への同席は、事業所の方針と必要性(本人の状態を説明する人が要るなど)で決める。同席するなら目的を絞る
  • 入所が決まったら、施設のケアマネ・相談員に引き継ぎ、在宅のサービスを終える調整をする
  • 決まるまでの間、在宅の支え(ショートステイ・通所の回数)を整える

3あなたが抱えなくていいこと

  • 施設を選ぶこと・「ここがいいですよ」と一つに絞って勧めること(後で「ケアマネが決めた」となりやすい)
  • 空き状況の電話を、何か所も代わりにかけ続けること
  • 毎回の見学への同行
  • 申込書・契約書の記入や署名(→ケース5へ)、身元保証人になること(→ケース4へ)
  • 特定の施設や紹介会社に誘導すること・お礼を受け取ること

※「探さない」=「放っておく」ではありません。選ぶための材料と相談先をそろえ、決まるまでと決まった後の支援を途切れさせません。

4次に確認すること

  1. 本人の意向と、本人が自分で考えて決められるか
  2. 費用の上限(月いくらまでか)と、負担限度額認定の対象になりうるか
  3. 急ぎの度合い(退院の期限、家族の限界)

5誰につなぐか

順先何を
1市町村の介護保険担当施設の一覧、特養の申込み方法、負担限度額認定
2地域包括支援センター地域の施設の情報、身寄りがない・お金の心配がある場合の相談
3施設の相談員(特養・老健・グループホーム・有料・サ高住)見学、空き状況、費用とサービスの説明。問い合わせ・申込みは本人・家族から
4病院の医療相談室(MSW)入院中で、退院先として施設を探す場合
5民間の老人ホーム紹介事業者無料で使えるところが多いが、施設側からの紹介料で成り立っている事業者が多く、中立とは限らない(仕組みは事業者ごとに確認)。使うかどうかは家族の判断

相談先の名前は地域で違います。「お住まいの市区町村名+窓口名」で検索してください。

6相手への伝え方

家族へ:

「施設を考えるのは、ご家族が頑張ってこられたからこそだと思います。どこにするかを決めるのは、お母様とご家族なので、私は選ぶための材料をそろえます。施設の種類と費用の目安を一覧にしてきますので、月いくらまでなら大丈夫か、一度ご家族で話してみていただけますか。見学や申込みは、気になるところにご家族から連絡していただく形になります。決まったら、お母様の様子は私から施設にきちんとお伝えします。」

本人へ:

「娘さんから、これからの暮らしの場所の話が出ています。○○さんの気持ちを一番に聞きたいので、今どう思っているか教えてください。すぐ決めることではないので、一緒に見に行ってみて考えるのでも大丈夫です。」

7記録の残し方

○月○日、長女より電話で「施設を探してほしい、見学にも同行を」と依頼あり。施設の選択・申込みは本人・家族が行うものであることを説明し、ケアマネは施設の種類と費用の目安の情報提供、選んだ施設への本人情報の提供を行うことで了承を得る。費用の上限は長女が家族と相談のうえ連絡予定。○日訪問時に本人の意向を確認、本人「家にいたいが、娘に迷惑はかけたくない」と発言。施設の種類別の一覧を長女に渡す(○日)。負担限度額認定は市町村介護保険課に確認するよう案内。見学同行は事業所の方針により行わず、見学後に長女から様子を聞くこととした。管理者に報告済み。

この記録の文例は、ほかの34場面と並べて記録文例集にもまとめています →

あなたのケースは?

5つの質問に答えると、この記事の線引きが「あなたの答え」に合わせて整理され、相談メモになります。

あなたのケースを3分で整理する →
  • 頼まれていることは(複数可)
  • 本人は施設のことを
  • 急ぎ具合は
  • 考えている施設の種類は
  • 費用の見当は

8根拠

  • 居宅介護支援の運営基準では、在宅での生活が難しくなったと認める場合や、利用者が介護保険施設への入所を希望する場合に、介護保険施設への紹介その他の便宜の提供を行うことが定められている(第13条第17号)。有料老人ホーム・サ高住の扱いは要確認
  • 施設を選んで申し込み、契約するのは本人(と家族)。申込みや契約の代筆・代理はケアマネが担わない(→ケース5へ)
  • 厚労省「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会 中間整理」(令和6年12月)の別添(業務の4分類)には、施設探しや見学同行の記載はない
  • 運営基準で、居宅サービス事業者等から金品その他の財産上の利益を受け取ることは禁じられている(→ケース30へ)。紹介会社や施設からのお礼も受け取らない
  • 介護保険の施設の食費・居住費の負担を軽くする負担限度額認定は、所得・預貯金などの要件があり、市町村が認定する
  • 調査:LIFULL介護(2025年3月、872名)で、ケアマネとやり取りした人が「ケアマネの業務だと思っていた」のは、おすすめの施設を提案 68.0%、施設に空きがあるか問い合わせ 60.2%、入居前の施設との面談に同席 33.4%、施設見学に一緒に来てもらう 30.4%(参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000650.000033058.html )
  • 参考:あるある収集 #39(施設探しを丸投げされる) https://note.com/enplege08/n/n50ad68bd68a2 / #40(施設見学・入居前面談の同席を期待される)

一次資料(リンク先を実際に開いて確認済み)

本文の「要確認」は、上の資料で確認し次第、表記を確定します。

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更新履歴:2026-10-02 公開(試作v1・監修中)