となりのケアマネさん

これ、私がやるの? ケース33

「何でも屋」扱いされている。頼まれごとを仕分けて、事業所で線をそろえる

執筆:石田竜生(作業療法士・介護支援専門員資格(株式会社おふとん)) 実務の監修:主任介護支援専門員(大阪府・経験11年) 監修中 法律部分:司法書士・行政書士 確認中 公開 2026-10-02/更新 2026-10-02

よくある場面 電球、ゴミ出し、役所の手続き、夜の電話、病院の付き添い。一つひとつは小さいが、「ケアマネさんなら何とかしてくれる」が当たり前になっている。断ると「前のケアマネさんはやってくれた」。上司には「親切丁寧な対応がケアマネの役割」と言われる。自分の仕事が何なのか分からなくなってきた。

電球やゴミ袋や受話器を全部抱えて、ケアマネがふらふらしている

1まず結論

ケアマネの仕事は、本人の暮らしに必要な支援を組み立てて、つなぐことです。頼まれたことを自分でやることではありません。あなたの役割は、頼まれごとを「本来の業務/保険外で対応しうる/他の機関につなぐ/ケアマネには対応できない」に仕分けて担い手を決め、事業所として線をそろえるところまで。「何でもやる人」でなく、「何でもつなげる人」でいいのです。

2あなたがすること

  • この1か月で頼まれた業務外のことを書き出し、4つに仕分ける(国の検討会の中間整理の4分類が使える。8. 根拠)
  • 繰り返し頼まれることから、担い手(家族・保険外サービス・地域の支え合い)を決めて、ケアプランに位置づける
  • 契約や初回の説明で「ケアマネがすること・しないこと」を伝える。重要事項説明書や業務の範囲の説明書を使う
  • 事業所の中で線をそろえる(管理者と「個人の親切で引き受けない線」を決める。前のケアマネとの違いは事業所として説明する)
  • サービス事業所や包括からの肩代わりは、担当者会議で「誰の役割か」を確かめる
  • 業務外の対応をしたときは、何を・なぜ・どれくらいの時間かを記録に残す(事業所が実態をつかみ、線を決める材料になる)
  • 地域に担い手がいないことは、包括・地域ケア会議に地域の課題として上げる

3あなたが抱えなくていいこと

  • 「前のケアマネさんはやってくれた」に合わせること
  • 一人で断り続けること(事業所の線として、管理者と一緒に伝えてよい)
  • 地域に担い手がいない穴を、自分の時間で埋め続けること
  • 疲れや「辞めたい」という気持ちを、我慢して抱え込むこと

※線を引く=冷たくする、ではありません。頼まれごとの担い手を一緒に探し、本人の暮らしの支援は途切れさせません。

4次に確認すること

  1. 頼まれごとの中で、いちばん回数・時間が多いもの
  2. 事業所の「ケアマネがすること・しないこと」の決まりと、契約のときの説明のしかた
  3. 地域の保険外の担い手と、生活支援コーディネーターの連絡先

5誰につなぐか

順先何を
1自事業所(管理者)事業所としての線を決める、利用者・家族への説明を一緒に
2地域包括支援センター地域ケア会議に地域の課題として上げる。困難な事例の相談
3生活支援コーディネーター(市町村・社協など)地域の支え合い・担い手探し
4社会福祉協議会有償ボランティア、日常生活自立支援事業(お金や手続きの支援)
5シルバー人材センター・自費の家事代行・保険外サービス事業者電球交換・草取り・付き添いなど、保険の外の担い手
6都道府県・市町村の介護支援専門員協会同じ立場のケアマネへの相談、研修(相談窓口の有無は地域による)

相談先の名前は地域で違います。「お住まいの市区町村名+窓口名」で検索してください。

6相手への伝え方

本人・家族へ:

「いつも頼ってくださってありがとうございます。私の仕事は、○○さんの暮らしに必要なことを、誰が担うと続けやすいかを考えてつなぐことなんです。私がその場でやってしまうと、私が来られない日に困ってしまうので、電球や買い物は○○(担い手)にお願いできるようにしますね。困ったことは、これまでどおり何でも話してください。」

「前のケアマネさんはやってくれた」と言われたとき:

「前の方がしてくださっていたんですね。事業所として、ケアマネがする範囲を決めていて、私もそれに沿っています。代わりに○○さんが困らない形を一緒に作りますので、少し時間をください。」

上司へ:

「この1か月の業務外の対応をまとめました(○件・合計○時間)。一件ずつは小さいのですが、本来の業務の時間が足りなくなっています。どこまでを事業所として引き受けるか、線を一緒に決めていただけますか。」

7記録の残し方

○月○日、訪問時に本人より電球交換、長女より電話で役所の書類の取り寄せを依頼される。ケアマネの業務の範囲を説明し、電球交換はシルバー人材センター、書類の取り寄せは長女が行うこととして了承を得る。シルバー人材センターへの依頼方法を本人に説明(○日に申込み予定)。同様の依頼が今月○件あるため、生活上の困りごとが増えていると考え、次回モニタリングで生活全体を再アセスメント予定。管理者に報告し、事業所としての対応の線を○日の会議で確認予定。

この記録の文例は、ほかの34場面と並べて記録文例集にもまとめています →

あなたのケースは?

5つの質問に答えると、この記事の線引きが「あなたの答え」に合わせて整理され、相談メモになります。

あなたのケースを3分で整理する →
  • 「何でも屋」扱いしてくるのは(複数可)
  • 頼まれることで多いのは
  • 事業所に「ケアマネがすること・しないこと」の決まりは
  • 地域の保険外の担い手(自費のヘルパー・シルバー人材センター・社協の有償ボランティアなど)は
  • あなたの今の状態は

8根拠

  • 厚労省「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会 中間整理」(令和6年12月)の別添では、ケアマネの業務を①法定業務、②保険外サービスとして対応し得る業務(郵便・宅配便等の発送・受取、書類作成・発送、代筆・代読、救急搬送時の同乗など)、③他機関につなぐべき業務(部屋の片付け・ゴミ出し・買い物などの家事支援、預貯金の引出・振込、財産管理、徘徊時の捜索、死後事務など)、④対応困難な業務(医療同意)に整理している
  • 居宅介護支援の業務は、アセスメント・ケアプランの作成・サービス事業者等との連絡調整・モニタリングなど(指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第13条)
  • 地域の担い手づくりは、介護保険の生活支援体制整備事業(生活支援コーディネーター・協議体)の役割
  • 調査:UAゼンセン日本介護クラフトユニオン(2024年、641名)で、本来業務外の業務を行った割合は、ペット・植物の世話 88.6%、介護保険制度以外の相談 83.3%、生活支援(買い物・銀行等の手続・粗大ごみ)79.9%、救急車への同乗 70.2% など(参考:https://gemmed.ghc-j.com/?p=60932 )
  • 調査:日本総合研究所(2020年、716件)で、保険外の対応を「全て対応する」「対応することがある」が9割超、料金を徴収しているケアマネは1〜2%程度(参考:https://kaigoshoku.mynavi.jp/contents/kaigonomirailab/news/medicalnursingnews/20210623/ )
  • 調査:エス・エム・エス(2026年1月発表、467名)で、シャドウワークに負担を感じている 94.8%(参考:https://i.care-mane.com/news/entry/blog-202601-3 )
  • 参考:あるある収集 #178(24時間対応の「何でも屋」として期待される) https://i.care-mane.com/news/entry/qa_7233 / https://note.com/algo2020/n/n90b39e226a7c / #176(業務外を断ったら上司に注意される) https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12288911847

一次資料(リンク先を実際に開いて確認済み)

本文の「要確認」は、上の資料で確認し次第、表記を確定します。

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更新履歴:2026-10-02 公開(試作v1・監修中)